ある日ゴミ屋敷の住人が死んだ。

作者 奥森 ゆうや

そのゴミ屋敷は、彼女へと続いている。

  • ★★★ Excellent!!!

 主人公はゴミ屋敷を片付けることになった三十路の男。ゴミは層をなし、崖となり、行く手を阻む。しかしその層は、まさしくゴミ屋敷の主の人生そのものだった。そして謎の指輪2つが、猫砂を敷き詰めたタンスから出てきた。さらに主人公を驚かせたのは、あれだけのゴミに埋もれながら、寝室だけはきれいな状態で残されていたことだった。一見、不可解なゴミ屋敷。
 しかし、そこはかつて一人の美しく明るく、誰からも好かれる女性の家だった。女性はキャバクラで働いていたが、ある事件を契機に転落していく。そして「神の声」に導かれるように、ゴミを集めだす。そのゴミの中の玩具を近所の子供に与えていた。女性は、野良猫に餌をやり、一人の男の子を救い、そして死を迎えた。
 それから数年。ゴミ屋敷はなくなり、土地が売却された。
 主人公が体験するゴミ屋敷の状態と、生前のゴミ屋敷主人の人生が交差するように紡がれる人間ドラマが、ここにある。
 果たして、彼女の身に降りかかった事件とは?
 2つの指輪の意味とは?
 彼女とその屋敷の織り成す人間模様に、心打たれる。

 是非、ご一読ください。

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