勇気ある少女と変わることの出来る少女

果たしてこの物語の主人公は、どちらだろう。
語り手に近い位置に居るのは、奈々実。だからとそちらがそうだと判断するのは、早計に思う。

流れに巻き込まれること。それを過ちと呼ぶのは、あまりに過酷だ。
けれどもそれを、受け入れられる道理もない。言ってしまえば、敵対行為なのだから。
流れを作った者たちに、主義主張などない。全てはなんとなくだ。そこに乗った者も、自動的に同じとなる。

流れに乗った奈々実を諦め、悔いて本当の意味での関心を持った奈々実をまた受け入れた。
そう出来る夕希こそが、この物語の主人公ではと私は思う。

その他のおすすめレビュー

須能 雪羽さんの他のおすすめレビュー117