★★★ Excellent!!!
愛しき疎外感をあなたにっ!! ボンゴレ☆ビガンゴ
この物語はホワイダニットミステリーであり歪んだラブストーリーであり、壊れた女達の青春群像劇なのだけれど、ここでは物語の全篇に漂う「愛しき疎外感」という視点からついて語りたい。むしろ、もう勝手に語らせてください。好きです。
まず、この作品は誰もが胸の内に秘めた「自分は他人とは違う」という疎外感をあらゆる角度から丁寧に大胆に描いているので、その点を最初に褒め殺したい。すげー。
群像劇であるから、物語の視点は移り変わっていく。
出てくる主人公達は、言ってしまえばイカれたピンサロ嬢たちだ。全体的に頭がおかしい。ヤク中メンヘラどんとこい。
だけど、常人には理解できないような環境で働いてるイカれた彼女たちが、何故こんな人生を送っているのか、何を考えて働いているのか、何に悩み何に生きがいを感じるのか。そして、どうして殺人を犯したのか。
そんなことが次第に明かされていく。
丁寧に描かれていく。すげーぜ。
ここで個人的に注目したいのは登場人物の誰もが持っている「疎外感」だ。
それは家族に対してだったり、他人や仲間に対してだったり、世界に対してだったりするのだが、その「疎外感」を埋めようと悩んだり、葛藤したり、立ち向かったり、諦めちゃったりする、彼女たちの境遇や心理描写が上手いので、こっちも知らず知らずのうちに感情移入しちゃうわけだ。イカれた風俗嬢に感情移入しちゃうんだよっ、初体験!
彼女たちや、時々出てくる彼らたち、には赤い血が流れ、体温があり、今を『生きている』んだってことがビシバシ描かれていて、そんな風に生き生きと各キャラクターを描かれちゃうもんだから、全員が愛しくなってきちゃう。やられたぜ。ちくしょー。
で、物語自体は殺人が起きた時刻を基準に事前、事後を縦横無尽に行き来しつつ、主軸のキャラを入れ替えながら展開していく。
読者は振り落とされないようにしがみつかなければなら…
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