異世界ファンタジー。よく読むのですが、見知らぬ生き物が出てきたり、魔法を駆使して派手に立ち回るような作風はイメージが湧きづらくて、実は少しだけ不得手だったりもします。
そんな私のような、想像力は弱いけど異ファン大好きなそこのあなたにこの作品を激推しします!
主人公は兄と共に国を治める王女。隣国歴訪中で兄不在の中、ある緊急事態に見舞われます。国の混乱を防ぐため市場で国民に語りかける王女。その民衆の中で出会った自分とそっくりな少女と共に、事態の収束へ向けて奔走します。
王女と、ここではないどこかから迷い込んだ少女を主軸とした物語は、異世界転移ものと言えるのかもしれません。ですが流行り物のああいう雰囲気を期待するとしっぺ返しを食らいます。食らいますが、ほんのりラブも交えたストーリー展開や魅力的なキャラクターたちが最高すぎて、期待していた以上の読書を楽しめるはず!
そして終盤での構成といえば良いのか、とある表現手法では今まで味わったことのない高揚を感じ、作者さまの高い文章力に感激してしまいました。ぜひこの感覚をたくさんの方と共有したい。
前述した通り、流行り物ではないと思います。ですが異世界ファンタジーでありながら、為政者としての立場や苦悩、市井との関わり方はリアリティや現実への理想も感じ、ついこの世界に前のめりに入り込んでしまいます。姉妹編もあるとのことで、そちらを読むのが今から楽しみで仕方ありません。
まずは第一作から、この異世界らしくない別世界にどっぷりと浸ってみませんか。
丁寧な筆致でしっかりと書き込まれた情景や、人々の息吹が感じられるような街の描写に引き込まれました。本当にこの国が存在しているかのようです。
中世の絵巻物を思わせる雰囲気が全体に流れていて、そこで紡ぎ出される物語は、まるで重厚で緻密なタピストリーの世界が、鮮やかな色を持って生き生きと動き出すような感覚です。
「時を刻む」という概念とは。この人間にとっての大きなテーマを中心に、時空を超えた出会いやひとつの国の存亡の危機など、色んな要素が盛り込まれていて、まさに王道のファンタジー。
文学とエンターテイメントが融合した、どの世代でも楽しめる物語です。
シレア国の王女、アウロラ。
彼女は民と積極的に交わり、そして城の人々を心配させるお転婆な姫。
ある時、時を告げ続けて来たこの国でたった一つの時計が針を止めて……
同じ頃、もう一人の少女がシレアに迷い込む。
彼女の訪れは、偶然か。必然か。
国の人々に愛される少女と、迷い人の少女。
彼女らが紡ぐのは、新たな時を紡ぐための支度か。終わりへのカウントダウンか。
それを知る者は、時を刻む時計以外にないのだろう。
わたしとしては、シードゥスというキャラクターが好きです。彼の不器用な優しさが……
あなたもきっと、好きなキャラクターが生まれるのではないでしょうか?
是非、ハイファンタジー好きにかかわらず、読んでみて下さい(*^^*)
人の手を借りずに動く、鐘楼の時計。古より伝わるこの時計台は、シレア国の時を刻む唯一無二の存在でした。止まることのない、由緒正しい時計の描写は圧巻です。ロマンがあります。そんな時計台が止まるという事件が起きてしまうから大変です。兄王子の不在の中、王女アウロラが奔走します。
シレア国の命運を握るのはアウロラだけではなく、異世界から迷い込んでしまった少女ウェスペル。時空を越えた二人の少女の出会いが、意味するものとは。
ハイ・ファンタジーならではの読みごたえをお楽しみください。城下町の光景や空の描写は、ウェスペルとともにシレア国へ迷い込んだ感覚になります。あまりの美しさに、ほうっと溜息をこぼしてしまうでしょう。
兄編の「天空の標」と合わせて読まれることをおすすめします。
ある日止まってしまった時計、迷い込んだ少女。
王女アウロラ、少女ウェスペル、同じ顔。同じだけと違う二人。
その邂逅の答えはラストシーンにて。
この作品の最大の特徴は描写のきれいさです。色を感じるほどに鮮やかで、濃い。いや細かいともいうべきか。数行どころではなく、十行くらい積み重なっている箇所があります。
話の展開もていねいです。ある程度の段階を踏んで情報が開示されます。
街の様子が事細かに描かれていたのも印象的です。国の状況、地理に関しても。世界観が細かく設定されているのでしょう。地に足のついた物語だと感じました。
二転三転する後半のストーリーも、見どころの一つです。起承転結の転が鮮やかでした。アレはビビる。
そして最大の盛り上がりの後の余韻には、ため息が出ました。
その国にただ一つの時計が止まってしまった。時を同じくして、その国の姫様と瓜二つの顔を持つ女の子が迷い込んできた──。
ここから始まるこの物語は、作者さまの巧みな世界の描写と、生き生きとしたキャラクタたちによって「本格ファンタジー」として深い味わいを持つ物語になっています。
これからどうなるのかというハラハラ感、この二人はどうなっちゃうのというドキドキ感、「時間」の謎はいかにというワクワク感。どれをとっても素晴らしい仕上がりです。
読書を始めたころの懐かしい気持ち、これが胸に込み上げてくる。読書は楽しい! と再認識させてくれるような素晴らしい読書体験を、ぜひ味わって頂きたい! オススメの一作です!
森で迷った主人公の女の子は、過去の世界に似た異世界に
きてしまいます。
時間の国とも言うべきシレアという国。
物理法則を無視した謎な機構で動く時計。
時刻に正確に鳴る鐘。
ファンタジーです。
主人公が迷い込んできたのと機を一にして
大切な時計が止まってしまいます。
国の根幹を揺るがす大事件。
国のお姫さまが対応に追われるのですけれど、
そのお姫さまがなんと、主人公と姿形がそっくりさん。
なんらかの因果を感じさせます。
さあどうなる、時計は動きはじめるのか、少女は元の世界に帰れるのか。
まだ読み終わっていないからわかりません!
読み終わりました! でも、結論は言えません! 読め。
「全く同じ顔を持つ二人の少女が一つの国を守るべく協力する」と言うととても簡単だが、テーマはとても深い。
国の標となる『時計』が止まってしまうところから物語は始まる。
ただの時計だ。時を刻むためにあるものだ。
だが、この国ではそれ以上の価値がある。
人々の心のよりどころとして機能しているのだ。
その時計が止まる。
心の依り代が機能しなくなるのだ。
この国難に立ち向かうのは、父王と母を亡くしたばかりの若き王女。
頼りになる兄王子が留守にしている今、信頼のおける仲間と共にこの危機を乗り越える。
ストーリーがシンプルでわかりやすい分、登場人物たちの心の動きに移入しやすい。
不安、疑心暗鬼、信頼、ほのかな恋心、それらが見事に組み合わさって一つの絵のようになっている。
そして特筆すべきは文章力の高さ。言葉選びが巧みで読者を飽きさせない。
自然の描写がとても美しく、読んだだけでその情景がスクリーンのように目の前に展開されて行くのは感動ものだ。
(私もこんな文章が書きたいよ!!!)
このお話は『妹編』であり、「その頃一方、兄王子は……」が『兄編』として書かれている。
そちらも気になるという方は『天空の標』も覗いてみては。
「読んでよかった」という感想を持つことは私が保証します!
追伸)料理長の焼き菓子が食べたいです!
国に唯一ある時計台。その時の刻みが止まってしまった――。
時も止まったわけではない。陽は沈んでは昇る。
けれども、大きな秩序の乱れに繋がりかねない事件。
王女は秩序を保とうと奔走するが、彼女の目の前に、自分とそっくりな不思議な少女も現れて……。
王女アウロラと、「遠い場所」から来た少女ウェスペル。
出会うはずのない二人の物語です。
この物語はファンタジーですが、派手な戦いや冒険をメインにしたものではありません。
読んでの個人的なイメージですが……登場人物達が、国で起きている異常をどうにかしようと、城内や街を必死で奔走しているイメージの物語です。
その国の美しい風景や、生き生きとした街の人々の様子が、とても素敵です。読めば読むほどに惹かれていきました。登場人物一人一人も魅力的で、一人一人が生きている・生活していると感じられました。
しかし時計の停止をはじめとした異常事態は次々に起こっていきます。その異常事態をどうにかしようとする様子も、丁寧に描かれています。時計は止まっていますが、不思議と時間の流れを感じられるのです。
とても素敵な物語でした。
城下町に置かれた、その国唯一の時計。いつからありどうやって動いているかもわかりませんが、人々はそれを便りに時を刻んでいきました。
その時計が、今止まる。
たかが時計が止まっただけだと思うかもしれませんが、不便はもとより、ずっと当たり前のようにあったものが崩れると言うのは、とても不安なこと。それをなんとかしようと奮闘する主人公が、この国の王女であるアウロラです。
このアウロラと言うのが実に魅力的なキャラで、日頃から城下に出て街の人と話すと言う王女らしからぬ振る舞い。それでいて、国民の事を第一に考え、思慮深いと言う、王女としての一面も持ち合わせています。
そんな彼女だからこそ、見ていて頑張れと応援したくなる。しかも、彼女そっくりの容姿を持つ少女も登場し、物語は更なる盛り上がりを見せてくれました。
あまりに大きく、人の手にはあまりそうなこの異常にどうやって立ち向かっていくのか。アウロラの奮闘をご覧ください。
物語の舞台は、辺りを森に囲まれたシレア王国。
そんな王国にたった一つしかない時計に起きた異変。今まで何年も止まることなく、正確な時を刻んでいた時計が止まってしまったら、人々はどうなってしまうでしょう?
止まってしまった時計を巡って奔走するお転婆姫なお姫様をはじめ、登場キャラクターがいずれも魅力的。
特にお姫様と瓜二つの姿をした、遠い所からシレア王国に来てしまった女の子。彼女の存在が、お話のいいアクセントになってくれました。
そしてこの作者様の別作品を読んでも思ったのですが、風景や心の動きの描写が本当に丁寧。読んでいるうちにだんだんと、物語の世界に引き込まれていきます。
本格的なファンタジーなお話が好き、少々お転婆なところもあるけど、格好良いお姫様を見たいと言う人に、是非読んでもらいたい作品です。
ちなみに姉妹作に、『天空の標』と言う作品があります。内容がリンクしていて、合わせて読んだら面白さは倍増です!
自然豊かな描写と生き生きとしたキャラクターたちが活躍するファンタジー長編。
平和な国に突然訪れた危機に、若い王女が寝る間も惜しんで奮闘します。傍らには、なんとそっくりな少女もいて……
彼女との出会いが物語をぐんと奥深いものにしていきます。
二つの世界、異なる時空、出会うことのない二人が出会う不思議な現象に、止まることのないはずの時計が動きを止め、川にも異変が、さらには陰謀まで勃発して……と畳みかける危機に、「エエ、どうすんのよっ」とこちらはハラハラしますが、映画のような鮮やかさ迫力で最後まで突き進みます。
余韻のある、じいんとくるラストも注目。奇跡って言葉がフッと浮かびました。