海外の児童書を読んでいるような作品

 ある日止まってしまった時計、迷い込んだ少女。
 王女アウロラ、少女ウェスペル、同じ顔。同じだけと違う二人。
 その邂逅の答えはラストシーンにて。

 この作品の最大の特徴は描写のきれいさです。色を感じるほどに鮮やかで、濃い。いや細かいともいうべきか。数行どころではなく、十行くらい積み重なっている箇所があります。
 話の展開もていねいです。ある程度の段階を踏んで情報が開示されます。
 街の様子が事細かに描かれていたのも印象的です。国の状況、地理に関しても。世界観が細かく設定されているのでしょう。地に足のついた物語だと感じました。

 二転三転する後半のストーリーも、見どころの一つです。起承転結の転が鮮やかでした。アレはビビる。
 そして最大の盛り上がりの後の余韻には、ため息が出ました。

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