児童文学でありながら、大人にこそ読んでほしいファンタジー

人の手を借りずに動く、鐘楼の時計。古より伝わるこの時計台は、シレア国の時を刻む唯一無二の存在でした。止まることのない、由緒正しい時計の描写は圧巻です。ロマンがあります。そんな時計台が止まるという事件が起きてしまうから大変です。兄王子の不在の中、王女アウロラが奔走します。

シレア国の命運を握るのはアウロラだけではなく、異世界から迷い込んでしまった少女ウェスペル。時空を越えた二人の少女の出会いが、意味するものとは。

ハイ・ファンタジーならではの読みごたえをお楽しみください。城下町の光景や空の描写は、ウェスペルとともにシレア国へ迷い込んだ感覚になります。あまりの美しさに、ほうっと溜息をこぼしてしまうでしょう。

兄編の「天空の標」と合わせて読まれることをおすすめします。

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