異世界転移とは一線を画した別世界を堪能しませんか

  • ★★★ Excellent!!!

 異世界ファンタジー。よく読むのですが、見知らぬ生き物が出てきたり、魔法を駆使して派手に立ち回るような作風はイメージが湧きづらくて、実は少しだけ不得手だったりもします。
 そんな私のような、想像力は弱いけど異ファン大好きなそこのあなたにこの作品を激推しします!

 主人公は兄と共に国を治める王女。隣国歴訪中で兄不在の中、ある緊急事態に見舞われます。国の混乱を防ぐため市場で国民に語りかける王女。その民衆の中で出会った自分とそっくりな少女と共に、事態の収束へ向けて奔走します。

 王女と、ここではないどこかから迷い込んだ少女を主軸とした物語は、異世界転移ものと言えるのかもしれません。ですが流行り物のああいう雰囲気を期待するとしっぺ返しを食らいます。食らいますが、ほんのりラブも交えたストーリー展開や魅力的なキャラクターたちが最高すぎて、期待していた以上の読書を楽しめるはず!
 そして終盤での構成といえば良いのか、とある表現手法では今まで味わったことのない高揚を感じ、作者さまの高い文章力に感激してしまいました。ぜひこの感覚をたくさんの方と共有したい。
 
 前述した通り、流行り物ではないと思います。ですが異世界ファンタジーでありながら、為政者としての立場や苦悩、市井との関わり方はリアリティや現実への理想も感じ、ついこの世界に前のめりに入り込んでしまいます。姉妹編もあるとのことで、そちらを読むのが今から楽しみで仕方ありません。
 まずは第一作から、この異世界らしくない別世界にどっぷりと浸ってみませんか。

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