第二章「一次予選」
第1話
選手村の居住区の隣にそのビュッフェレストランは有った。
僕は、入って早々パンとバターを皿にとって空いてる席を探すふりをしながらストロベリーを探した。
だが、レストランホールは広く探し出すのは困難そうに見えた。
あの派手なピンクの髪ならすぐに見つけられると思ったのだが、意外と見つからない。
そんな時だった、僕の肩をポンと誰かが叩いた。
振り返ると、そこには金髪碧眼の長身の男がノートパソコンを持って立っていた。
「よう!レイ、ここで会えるとは思ってなかったぜ!」
「生身で会うのは久しぶりだねジャック」
「ハハッ!違いねぇ。ところでストロベリーちゃんは?」
「それが、先に朝食を摂りに来たみたいなんだけど見つからないんだ」
「ふぅーん、ま、飯でも食いながら探そうぜ」
「どうやって探すのさ」
ジャックの後を付いて行き席に座ると彼はノートパソコンを開き何やらソフトを起動し始めた。
「まさか防犯カメラなんてもので見つかると思ってるの?」
「オイオイ!俺がそんな古典的なことすると思うか?ストロベリーちゃんスマホ持ってるか?」
「あ、うん」
「じゃあ、すぐ見つかるな」
「どうして?」
「最近のスマホには大抵GPS機能が付いていてそっから場所を割り出すのさ」
「精度はどれくらい?」
「ん~、企業秘密」
そう言ってジャックはニカッと笑った。
そうして、僕がパンに手を付ける暇もなくジャックはストロベリーの居場所を割り出してしまった。
「丁度、レイの後ろの方だな。テーブル三つ分の所」
そう言われて振り返ろうとすると、ジャックに「振り向くな」と制止された。
「何でだい?」
「騎士団が居る。ストロベリーちゃんはアイツらと仲良くおしゃべり中だ」
「!?」
何だって!? あのストロベリーが騎士団なんかとなぜ一緒に!?
しかも昨日あんな騒ぎを起こしたばかりだってのに!?
「落ち着け、レイ」
「落ち付いていられる訳ないだろう……!?」
もし、騎士団側から無理やり何かを要求されてそこに居るとしたら……事態は最悪だ。
しかも、あの姉さんだ。食事に毒を盛りかねない。
大会規約の中に試合中以外の殺人は認めないと書いてあった。
もし、ストロベリーがそこをちゃんと読んでなかったとしたら!
まずい、非常にまずい!
「落ち付けよ、レイ。ちゃんとストロベリーちゃんはストロベリーちゃんだって分からない格好してるからさ」
「は?」
「まぁ、これ見てみろよ」
そう言って、ジャックはパソコンを操作すると僕に画面を見せた。
そこには、僕とその後ろの風景が映っていた。
なるほど、WEBカメラ機能を鏡代わりにするのか。
動画でも見ているふりをしながら僕は自分の後ろを観察した。
すると、騎士団の制服を着た男たちが映った。
気づかれない様にカメラをズームさせる。
すると、一人の団員が茶髪のロングの少女に力こぶを作って見せていた。
少女も笑いながらその腕をつつく。
3秒くらいして、僕はやっとその少女がストロベリーだと気づいた。
でもなぜ、彼女があんな奴らと一緒に?
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