第4話
「始めよ!」
国王の声が響き渡ると、一気に近くに居るペア同士で争いが始まる。
勝負はコイントスをして勝った方の土俵に決まる。
僕等は身を屈めて素早く目を付けていたペアに勝負を仕掛けるべく走った。
狙ったのは群青の制服、そう、騎士団の中の一ペアだ。
彼らの周りにほかの騎士団の仲間は居ない、きっと離れたところで戦っているのだろう。
そして、騎士団という肩書を恐れて誰も彼らに仕掛けてこない。
それを読んで僕らはあえて彼らを狙った。
「あん? お前ら、団長に喧嘩売った奴じゃねーか」
熊のような体に制服を纏った男が僕達に気づく。
「そうだよ、どうやら君たち戦う相手が居ないみたいだね」
「そうそう、周りはもう勝負の真っ最中なのにね」
そう言ってやると、もう一人もこちらを向き眼鏡越しに僕達を品定めする。
「おやおや、お子様二人でワタクシ達に挑むとは愚かですねぇ」
「ちょいと、団長に代わって俺たち騎士団の恐ろしさを教えてあげねぇとな」
「そうですね、ガブル。ですが、我々もナイトですからね勝負の種類ぐらいは選ばせてあげますよ」
「ハハッそうだな、アイゼン!たまにはガキのお遊びに付き合ってやろうじゃねえか」
ゲラゲラ笑う熊男のガブルとニタニタ笑う眼鏡のアイゼンに、僕は内心コイツらの脳みそはコットンキャンディーで出来てるんじゃないかと思った。
「じゃぁ、こうしましょ!私、レディーだからそんなに体力が無いの。だから勝負の時間は15分!」
「どっちかが先に「参った」というまで攻撃して良いってことで、どうかな?」
「面白ぇ、乗ったぞその勝負」
「ふむ、要するに先に参ったと言わせた方が勝ちと言う事ですね?」
「うん、15分経っても勝負がつかなかったら立ってる方が勝ちだよ」
「宜しいでしょう、ではガブル15分間好きに暴れていいですよ」
「リョーカイ!」
歯をむき出しにして笑うガブルが「悪く思うなよ」と言う。
「えぇ」
「こっちこそ」
『悪く思わないでね』
瞬間、ガブルの顔が青ざめた。
僕が一気に間合いを詰めガブルの喉を手刀で突いたからだ。
一撃で喉をつぶされたガブルが喉首を抑えてたたらを踏む。
その隙にストロベリーはアイゼンに向かって駆け、飛び蹴りを食らわせようとしていた。
「くたばれ!アイゼン!」
ストロベリーの蹴りはアイゼンの顔面にクリーンヒットし、厚底のおでこ靴のソールが眼鏡を割り飛行機雲の様に鼻血が空中に散る。
そのまま、アイゼンは情けない声を上げた後地面に倒れた。
「えーっと、先ずは顎っ!!」
無情にも僕の双子の片割れはアイゼンが「参った」と宣言する間もなく顎を蹴り砕いてしまった。
「ほらほら、どうしたの?早く降参しちゃってよ!」
あーあ、可愛そうに。アレじゃ姉さんのサンドバックだな。
なんて考えてると、激昂したガブルが僕に向かってこぶしを振り上げてきた。
僕は、大ぶりなそれを避けるとまたも懐に潜り込み、脳みそを揺らす強烈なアッパーを食らわせる。
そして、仕上げに蛇のようにスルリとガブルの太い首に腕を回すとキッチリ2分以上首を絞め気絶させた。
そして、地に倒れた熊男の背中に腰かけると姉さんの壮絶ないじめを見物していた。
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