概要
盤上の物書きは、黒と白に情熱を賭して人生を語る。
人との関わりや厄介事から逃げ続け、後悔の多い大学生活を送った主人公は、卒業から10年ほど経った今も、情熱に乏しいふわついた日々を過ごしていた。
大学時代に唯一懸命に打ち込んだ囲碁も、もう久しく打っていない。
ある時、行きつけの喫茶店で出会った水原紀子は、偶然にも囲碁を嗜む女性だった。
令和に入って大幅に改稿された、作者初の自作小説。
大学時代に唯一懸命に打ち込んだ囲碁も、もう久しく打っていない。
ある時、行きつけの喫茶店で出会った水原紀子は、偶然にも囲碁を嗜む女性だった。
令和に入って大幅に改稿された、作者初の自作小説。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!盤上の人生
盤上、この小説では囲碁だが、その上には人生というものが少なからず反映されるのであろうと思う。将棋しかり、チェスしかり、舞台を盤上だというのなら歌や演劇などもそれらには含まれるのかもしれない。絵画なども、キャンバスの上に描くという点では似ている。
つまらない、色のない世界を生きる主人公は、一人の女性、紀子と出会う。それは運命的な出会いのようにも思えたし、偶然の重なった結果のようにも思えた。
とても静かに、そして碁を通して語られる、彼女と主人公の、盤上に描かれた黒白の人生論。碁を通して互いに惹かれあう様子を描いた描写は、すっと心に染み込んでいくようだった。
ラストは、読者に少なからず衝…続きを読む