第11話 KAC10 カタリ、バーグさん
例えば、野球でいえば、応援しているチームのエースが好投して8回まで0点に抑えて、2-0でリードしている状態で9回表にリリーフでマウンドに上がった抑え投手が大破炎上して4失点してそのまま2-4で負けたりしたら、観戦しているファンはどう思うでしょうか。
「は????」
と言いたくなるんじゃないでしょうか。
KAC企画の掉尾を飾る第10回のお題を聞いた時の心境が、まさにコレに近いんじゃないかと思うのです。
カタリ、バーグさん。
……え、お題って、カクヨム、じゃないのかよ?
まあ、そこは、我々の読みが甘かったということだろう。運営に裏をかかれた。それは仕方ない。
だけど、カタリ、バーグさん、って、そもそも誰?
大半の人が、そんなマスコットキャラが存在していたなんて知らなかったんじゃないですかね。私も知りませんでした。
まあしょうがない。知らないなら、調べるしかない。そして……
カタリって、男の子なのか? これ、女の子じゃね?
これも多くの人が思ったはず。
最後の最後で、全10回中でも最も物議を醸すお題が出て来やがった。
とにかく、予測が外れてしまっただけでなく、肝心のお題が9回表大破炎上レベルで「は????」すぎて、何を書けばいいのか分からない。
もうこの時点でエッセイに逃げた人もいるはず。それも仕方ないです。このお題じゃ。
そして、もしかしたらこのお題で皆勤賞を諦めた人も、一人二人くらいは存在するんじゃないかなあ。ざまあ……じゃなくて、ご愁傷様です。このお題じゃしょうがないっすよ。
私も正直なところ、お題を見た瞬間に真面目な作品を書く気が失せた。
といっても、前回書いたように、第9回をアップした後に、もう第10回の目処をつけて、作品を書き始めていたんですけどね。
結局、お題を見た結果、多少の修正を加えて、その事前に準備していた作品をそのまま完成させて出すことにしました。
驚くべきことは、こんなお題であるにもかかわらず、上位の人は、とても真面目にお題に取り組んで、ガチな作品を出している。
そりゃあ、第10回は編集部賞もある赤星回ではありますけど。まあそんな500分の1くらいの薄い確率に賭けるほど、私は楽観主義者じゃない。だけど、他の人は違ったらしい。
そして、そういって出展されたガチな作品、私もいくつか読みました。いい作品もあって、★も付けました。このお題でよく頑張っていてスゴイですよ。そこは皮肉でもなんでもなく、マジで尊敬する。
ですが……
5作、6作と読んでいって……
いや、確かに力作なんだけど……
読んだ作品が増えれば増えるほど、申し訳ないんだけど、「ドングリの背比べ」という言葉が思い浮かんできてしまいました。
だってですよ。
どの作品を読んでも、詠目がヨメだの、短いスカートの美少女が「下手なりに」って言っていたり。
そういう設定が出てきたって、当然だとは思います。だって公式設定なんだから。全然悪くないです。むしろ良い。
だが、読者としては、どの作品を読んでも同じような設定のキャラが出てくる話ばかりで、どれがどれだか区別がつかなくなってきた。
これ、500個どんぐりが並んで背の高さを競っているけど、その中に、どんぐりよりも背は低くてもマキビシが一つ混じっていたら、読者の心に上手く刺さるんじゃないだろうか?
なんというか、公式に設定されたキャラが登場する物語を書く、という企画だったら、少し前にやっていたメル・アイヴィー企画の方が面白かったですよ。あれはまだ字数も多く書けるから世界観とか書き込めたし、ヒロインのメルにしたって、「食う、食いまくる!」みたいなキャラに設定することも可能だった。実際にいくつもの作品を読んでみて、個性的な作品も多々ありましたよ。私も一作書いているので、機会があったら読んでみてください。後でリンク貼っておきます。
と、いうわけで。
大変申し訳ないんですが、今回はスコップは無しです。
オススメできる作品がありません。厳密に言うとあるかもしれないけど、どっちにせよドングリの背比べなので。
あえてあるとすれば……公式設定を意図的にブッチしたマキビシ、自作です!
そんなこんなで、ここでラスボス、自作紹介。
歴史ジャンルは日の目を見ない ~HEART OF WRIGHT~ kanegon
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889053692/episodes/1177354054889053697
ジャンルは創作論。
以下、ネタバレを盛大に含むため、本編を先に閲覧お願いします。
まずは、ジャンルに創作論を選んだところから言及すべきでしょうかね。
作品のあらすじのところにも書きましたが、最初から創作論で行くと決めていました。カタリ、バーグさんというお題発表前から、そのつもりで準備していました。
わざわざ言うまでもないことですが、素人が創作論なんて書いたってしょうがないです。
そりゃあカクヨムはプロも投稿できる場所だから、プロが創作論をやるなら、まだ分かる。
だけどアマチュアが創作論なんかやったって、ロクなことありません。そんなことよりも小説作品を書いて、その論の正しさを身を以て証明してみろよ、と言われて終わりです。
ですが、カクヨムには、創作論・評論、というジャンルが12分の1としてしっかり存在している。
勿論、普段だったら創作論を書こうだなんて思いません。
だけど、今回は、書くべきタイミングなんじゃないか?
ジャンル網羅を狙うとしたら、ミステリーか、創作論か、詩あたりをやるしかない。
普通だったら書く機会は巡って来ないのだし、この機会にやってみようか。
10ジャンル網羅を目標にやってきて、残ったのが、ミステリー、創作論・評論、詩・童話・その他、の3つです。この中で会話劇でできそうなの。として辿り着いたのが創作論だった。
創作論を書くにしても、単に説教臭い文章を書くのではなく、あくまでも会話劇として多少コミカルにやれば、会話劇縛りも達成できる上に、物語を描く中で創作論を展開するという形なら、読者の反発感も緩和されるはず。
ということで、創作論を書くことを決めた時点で、内容は歴史ジャンル冷遇自虐というふうに割とスムーズに決まりました。
念のため言っておきますと、今回の会話劇創作論、盛大な自虐なんですよ。
カクヨムにおける歴史ジャンルの冷遇っぷりを皮肉ってマイナー歴史物をボロカスにぶっ叩いた本作品ですが、実のところ私自身が、そういうマイナーな歴史物をちまちま書いたりしているわけです。私が本作品に叩かれる側。
作中に名前を出したKAC4参加作品の、竹簡と兎毛筆と吃音の韓非子、もそうですが、他にも、更新速度は超遅めですが、
西天の長波 ~女傑王玄策の天竺行~
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884019649
を、はじめとして、ソールレイヴ・サガ、ルピア湖畔の巫女 ~ヴェレダの歌~、などありますので、ぜひ読んでみてください。
そんな感じで、マイナー歴史ジャンルで常々感じていることを率直に会話劇の形にしたのが本作品です。
繰り返しになりますが、本来ならば書くべきではない創作論を、会話劇という形に昇華することによって、説教臭さを大幅緩和した上でそれなりに楽しく読めるものにした、というのが本作品の成果といえると思っています。
内容に関しては全く救いが無いですけどね。10作書いた中で、最悪の結末が待ち構えている。
歴史ジャンルは冷遇されている。ならばどうすべきか。どうしようもない、異世界転生チーレムでも書けよ、ですから。
そして。
たいへん皮肉なことに10作書いたKAC作品の中で、これが一番伸びているよ。
いやいやいやいやいやいや。
コレが伸びたってしょうがない。そりゃ、伸びるといっても、上位作品から比べたらゴミのようなものですが、それでも10作出した自作の中では★、ハート、PV、ともにダントツで伸びている。
読んで頂けているのはもちろんありがたいのですが、どうせKAC作品を読むなら、竹簡と兎毛筆と吃音の韓非子の方を読んでくださいよ。というか、★やハートは付かなくても竹簡の方を読んでもらってPVが伸びないと、本作品で展開した創作論の正しさが証明されてしまうじゃないですか。むしろ、こんなのは証明されてほしくない。覆されてほしいのだ。
まあ、ここいらで気を取り直して、内容について。
まずは、元ネタを知らなければ唐突だと思われるであろう、バーグさんの登場について。
あれは私が悪いんじゃない。
知っている人は知っている。カドカワの動物アニメ2期が先にやったことです。私は単に後追いしただけ、というかリスペクトというか、パロディとして使っただけですから。
その、唐突に登場したバーグさんが、公式設定とは大幅にかけ離れた姿であることについては、お題が出た時に、カタリ、バーグさんが直接登場しない話もアリ、と運営から免罪符もらっているし。まあそれでもバーグさんをちゃんと出しただけ、良心的ともいえる。
短いミニスカートの美少女という設定をブッチしてあんな姿、それも量産型にしてしまったのは、ドングリの背比べの中では、むしろ尖った個性だったはず。引き出しも何もかも、あくまでもパロネタですし。
お題が、カタリ、バーグさん、と出た時点で、その二人の会話劇にする、という可能性も考えたのですが、あくまでも別人である先輩と藤花の会話劇にしたのも、他作品との差別化になっていたはず。
その二人の会話の内容については、さすがにこの場所で語る言葉は無いですね。作中に書いてある通りです。無茶苦茶正しいことを書いてしまった。正しすぎて、歴史クラスタにぐさぐさ刺さる。
あ、あとは、誰にも突っ込まれなかったサブタイトル、HEART OF WRIGHT、くらいでしょうか。たぶん誰も気にしていなかっただろうし、これの意味なんて分からなくても本編は普通に読めます。
RIGHT (正しい)でもない。
WRITE (書く)でもない。
WRIGHT、なんですよね、これ。複合語で職人、作者などの意味がある。なので作中の藤花の台詞で職人の腕の見せ所、と言わせています。
と、同時に、ライト兄弟のライトでもあります。リンドバーグのバーグさんが出てくるので、それに対抗してライト兄弟を出すのもいいかなと思いました。
HEART OF WRIGHT、という形にしたのは、気づいた方もいたかもしれませんが、T.M.Revolutionの名曲『HEART OF SWORD 〜夜明け前〜』を意識したものです。曲のサブタイトルが夜明け前なので、まだ太陽が出ていないから、日が当たらず日の目を見ない歴史ジャンル。でも、夜明け前であるからには、これから夜が明けて、太陽が昇り、歴史ジャンルが日の目を見るようになる、と、いいなあ。という願いを込めています。
気にする人もいないと思いますが、気にしなくていいです。
とりあえず、そんなこんなでKAC企画、全10回完走しました(皆勤賞とは言っていない)。
全10回会話劇縛りも達成しました。
カクヨム全12ジャンル中10ジャンル網羅も達成しました。
皆勤賞は無かったけどグッドレビュワーで500円ゲットも棚ぼた達成しました。
あとは……今回の企画に参加した最大の目的である、交流の幅を広げる、が達成できるかどうか、ですね。
そのために、このエッセイを書いてお疲れ様会の自主企画にも参加しています。
ですので、このエッセイを機会にご縁ができた方の作品もちょっとずつ読んでみたいと思っています。ただし私は書くのも遅いが読むのも遅くキャパシティがちっちゃいので過度な期待はせんどいてください。
各回についてはこれで全部書いたので、次回、まとめを書きます。
本文中でステマした作品がこちら。
メル・アイヴィー企画作品
石晶藻の口づけ kanegon
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887651256/episodes/1177354054887651275
さ、異世界転生チーレム書くか……
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