第5話 KAC4 紙とペンと○○
このお題だったら、○○の部分に何を入れるのか、がキモになるかな、と考えます。普通は。
ところが、紙とペンの部分を逆方向から攻めて行ったのがこの作品。
キャンバスと筆とオヤジ 0516さん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888835882
中国の魏晋南北朝時代を題材にした作品。書聖と呼ばれる王羲之とその息子の王献之の話。
この話、お題である紙とペンと○○にちゃんと合致した内容でありながら、中国なのでペンじゃなくて筆で書いているんですよね。その上、この時代には既に紙は存在していたけど、問題の書き付けは壁に書いている。紙じゃない。
なるほど。紙とペンというお題であっても、紙とペンじゃなくても作品は成立するんだ。
この自由な発想力がすごい。
だいたいお題小説って、お題に変にこだわり過ぎると、かえって窮屈な作品しかできなくなるものですよね。
この後のことになりますが、第10回の時には、カタリ、バーグさんの二人が直接登場しない話もアリ、と運営が言っていました。
お題を作中に出すことが大事なのではなく、そのお題からどのような面白い物語を発想することができるか、が大事。
それを思い出させてくれたのがこの作品でした。
というわけで、免罪符を得たようなものなので、自分もあえてペンの出てこない中国史題材、それも、まだ紙が発明されるよりも前の時代を描くことにしました。
もう一本、紙とペンお題の作品で目についたのはこれ。
KAC4: ほしのうた 鍋島小骨さん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888837421
北海道の短歌サークルにて。
地震による停電で、真っ暗で静寂に被われた世界。何が見えるのか。何が聞こえるのか。その時に感じた気持ちをどう書き留めておくのか。
逆境の中にあって、停電で光も音もなくなってしまった世界で、それでも残るもの、それでも心の底から湧き上がってくるもの、を描いている作品で心に残ります。
んで自作。
竹簡と兎毛筆と吃音の韓非子 kanegon
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888862170/episodes/1177354054888862178
ジャンルは歴史。この後の文章を読んでもネタバレはしません、たぶん。
というか歴史ものは史実の時点で最初からネタバレしていますから (このへん、KAC10への伏線です)。
この作品は、作品本体よりもキャッチコピーをちょっと頑張った感じ。紙もペンも出てこない作品だぞ、というのを前面に押し出した。0516さんの影響です。
フクロウの時の左安倍虎さんの影響を受けてモノローグという形にした。ただしあくまでもマグネット!の会話劇の方向もちゃんと見ているので、台詞という形はとっています。
作品の内容については、特に言うことも無し。
韓非が吃音で、まともに喋れないということで、李斯のモノローグになる、というのは既定路線です。
3の巫女衣装ほどの自信作ではないけど、それでも全10作の中では2番目くらいに上手く仕上がった作品だとは思うのですが、まあ歴史ジャンルが過疎っているカクヨムでは大したPVが伸びる見込みは無いですよね。
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