情報を交換することは実質セックスである

 ふつうの百合ものかと思って読み始めた人は間違いなく度胆を抜かれることだろう。

 淡々と愛を語る様子がまさに人工知能らしさを演出している。まるで進化のプロセスをシミュレートしているかのようではないか。

 作者はミームという概念をご存じだろうか? 知らずに書いたのであれば天才的である。かなり抽象度の高いところまで愛という概念を理解していなければなかなかここまで書けないだろう。

 いや、驚いた。信じられるかこれ、高校生が書いたんだぜ……だが、はたしてこの作品、カクヨム甲子園最終選考を通過することができるのか? 
 作者のセンスや才能が光る傑作だが、しかし百合だの愛だの高校生が書いたにしてはあまりにも大人び過ぎてやしないだろうか。お堅い新聞社が審査に加わっているわけだし……。じつに結果が気になるところである。

 だが、もし選ばれなくても決して作品が悪いわけではない。
 むしろ審査する大人たちの度量が試されている気がする。

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