百合自己生成機関

作者 愛と勇気と希望と友情の前野

83

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★★★ Excellent!!!

どうせ
みんな
百合になる

 この小説は「百合」です。意味が「百合」です。この文字列だけだと訳がわからないと思いますが私の表現力ではこのように記述するしかありません。
 AIと人間の恋愛を描いたSF、という使い古されたテーマながら、一度読み始めれば百合とSF的発想と私と彼女と読者が渾然一体となった百合空間に混ぜ込まれます。百合に挟まるんじゃありません。百合に混ぜ込まれます。この意味の違いは重大です。文字列は百合ではないですが間違いなくその文字列は百合という意味を奏でます。
 小説が百合なのか読者の解釈が百合なのか、どちらにせよ読了時にあなたは百合になっています。

★★★ Excellent!!!

近年、百合SFの荒波が押し寄せてきているのは百合厨の皆様が知るところと思う。そもそも百合もSFも定義がふわふわしがちというのはさておき、この作品は完全なる百合SFであり、傑作である。

文字を生み出し続ける文章自己生成プログラムの視点で綴られる、創造主であり対等な存在の「彼女」について。人工的な自我と人間の交流、よくあるタイプの百合SFだと思った、百合慣れした諸君ほど後半で激震が走るだろう。

ネタバレは避けるが、これは我々が消費できる百合を提供するものではない。我々に百合を植えつけ、我々を百合で侵食し、我々を百合の苗床とする物語だ。
我々は彼女らの「セックス」の堆肥となる。主導権は百合にある。百合厨としてこれ以上の歓びと栄誉があるだろうか。

とにかく百合好きほど読んでほしいし、百合好きでなければなおさら読むべき。この文章はあなたの脳に否が応でも百合の種を植えつけてくれる。
ちなみに同作者の「雪の弾丸」もド傑作なので是非読んでください。お願いします。