これは実質レズセッ◯ス、そう感じた時点で彼女の勝利。

近年、百合SFの荒波が押し寄せてきているのは百合厨の皆様が知るところと思う。そもそも百合もSFも定義がふわふわしがちというのはさておき、この作品は完全なる百合SFであり、傑作である。

文字を生み出し続ける文章自己生成プログラムの視点で綴られる、創造主であり対等な存在の「彼女」について。人工的な自我と人間の交流、よくあるタイプの百合SFだと思った、百合慣れした諸君ほど後半で激震が走るだろう。

ネタバレは避けるが、これは我々が消費できる百合を提供するものではない。我々に百合を植えつけ、我々を百合で侵食し、我々を百合の苗床とする物語だ。
我々は彼女らの「セックス」の堆肥となる。主導権は百合にある。百合厨としてこれ以上の歓びと栄誉があるだろうか。

とにかく百合好きほど読んでほしいし、百合好きでなければなおさら読むべき。この文章はあなたの脳に否が応でも百合の種を植えつけてくれる。
ちなみに同作者の「雪の弾丸」もド傑作なので是非読んでください。お願いします。

その他のおすすめレビュー

橘こっとんさんの他のおすすめレビュー26