赤心透き通って

 いつぐらいからそれに気づいていたのだろう。気づくというのは警報にも福音にもなり得るのだが、本作では多分両者を兼ねていそうな気がする。だからこそ残酷であり現実的である。二人が気持ちを確かめ合うにはそうした状態と引き換えたらざるを得ないのだから、様々な意味で逃れようがない。子供はいつまでも子供のままではいられない。
 それにしても。それにしてももう少し……という言葉が喉まで出かかる。しかし出せない。二人が全力を尽くした以上、それはよろしくない。
 私の家にはおはじきはない。代わりに、なにか赤いものに触れて二人の気持ちを感じ取ろう。

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