言葉の引力と、厭世と、虚無と、希望と

軽妙な会話劇の1話に引きこまれてそのまま読むと、もう帰ってこれない。

現実感があるようで欠片もない世界で、理不尽で不条理な世界で、登場人物達が交わり、笑い、泣き、愛を語らい、愛を踏みにじり、生きていく。

それを見ているのが楽しい。圧倒的な比喩と、救いのない世界の描写と、そこに描かれる僅かな希望に、沈んでいく。それが快感であり、面白い。

最後まで読むと、小説を書き殴りたくなる。そんな傑作です。

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