アンダンテがアレグロに 「好き」を詰め込んだ物語は、しなやかに走り出す

5歳の時、ピアノコンテストで出会った詩音と響。演奏スタイルも育ち方も違う天才二人がやがて再会し、ユニットを結成していく……。

主軸の一つはもちろん、作者様の大好きなクラシック。正直曲も用語も全て知っているわけではありませんでしたが、それでもすらすらと頭に入ってくるのは読み方に配慮した構成と筆致の賜物です。

その他にも、楽器、作曲家、動植物、ファッションと、きっと普段から興味を持ってるであろうことがよくわかる知識が綺麗に小説に溶け込み、唯一無二の作品に仕上がっています。

もちろん、ストーリーも上質。ただの天才音楽家のサクセスストーリーに終わらず、それぞれの生き方と人間模様、そして試練を乗り越える過程が「ドラマ」として成立しています。
その見せ方の流暢なこと。読みやすいったらありゃしない。始めはコメント入れてましたが、最後は夢中でページをめくっていました。

アンダンテで読ん始め、最後はアレグロに読了する。皆さんもこの楽曲、楽しんでください!

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