よんよんまる

作者 如月芳美

100

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★★★ Excellent!!!

紙の本として、いつまでも本棚に置くことができるなら、これほど幸福なことはありません。読了後の余韻のなかで、そんなことを考えました。大神響と大路詩音の物語は、音楽の物語であり、家族の物語であり、(もしかしたら)三角関係の物語であり、そしてなにより、人と人との縁が紡ぎだす物語です。読了後一日が経った今でも、最終シーンの鮮やかさに、その先にある音楽に、胸の高鳴りが抑えられません。読むものの心を震わせるものが物語であるのならば、とびきり上質な物語がここにあります。素敵な物語を、心から、ありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

一応『BL』の表記があるが、いわゆるBLっぽい描写はないので、苦手な方もご安心を。
何しろ、作者本人が、「BLは苦手」だと公言している。

主人公ふたりの互いへの『想い』を筆頭に、この物語には沢山の『想い』がこめられている。
親子の、音楽に対する、お世話になったひとへの。

著者の作を何作か読んでいるが、特徴として最後の『結末を読者に託す』点が素晴らしい。
はじめはもっと読みたい、と物足りなく思っていたが、蛇足がなくこの先どうなるのだろう、というワクワク感が読後も続くのが面白い。
今作は特にそう思った。

BLっぽい描写はない、と言ったが、色眼鏡をかけた腐女子の皆さんにも満足頂ける『両想い』っぷりなので、我こそは腐女子という方にも読んで頂きたい(笑)

★★★ Excellent!!!

正反対に見えて似たもの同士。二人の求めるものは同じでした。

純白のプリンス、大路詩音はピアニスト。漆黒の一匹狼、大神響は作曲家。
ともに才能に溢れた者同士が出会ったのは運命的でした。
二人は互いに自分に欠けていたものを相手に感じ、音楽ユニットを組みます。

二人の打てば響くような会話と、クリエイティブで躍動感に溢れたステージが本当に楽しくて、読みながらピアノの旋律に包まれるような気持ちになります。

クラシックに詳しい方ならこの作品の面白さを100%堪能出来ると思いますが、残念ながらそこまでの知識がない私のような読者でも充分に楽しめます。

テンポの良い文章は天才ピアニストの弾く名曲のように淀みなく、心躍る音楽の世界へ読者を導いてくれます。

芸術家同士のはじめて理解しあえる魂の出会いと歓喜は、BLと呼ぶにはあまりにも純粋で微笑ましいものでした。清々しい青春小説と言っていいと思います。

至福の読後感を是非味わって下さい。

★★★ Excellent!!!

全く正反対の性格の、二人のピアニスト。
お互いに尊敬し合い、男の深い友情で結ばれた彼らをとりまく人間ドラマ。
惹かれ合う、詩音と響。……ええ、もちろん友情ですよ……?
そして、花音という美しい女性の存在が色を添える。

クラシック音楽に造詣の深い 如月芳美先生の音楽の描写が秀逸です!

★★★ Excellent!!!


この作品を一行でまとめるならば、友情をテーマに描かれたアンサンブルと言うべきでしょうか。
東のプリンスと謳われる詩音と、西のウルフと呼ばれる響。
この二人のキャラは凸凹で、性格や嗜好も正反対。交わることのない曲線。光と影。コーヒーとミルク……と、例を上げればきりがないほどに、反面的な立ち位置にあります。

しかし、そんな彼等だからこそ、共に演奏する場に立った時、魅力的なアンサンブルを奏でることができるのかなと、私は思いました。
決していがみ合っているわけじゃない。寧ろ、互いに互いを尊敬しあっている。故に生まれる亀裂も、彼等にとってはスパイスなのかもしれません。

BLは守備範囲外なんですが、響が時々口にする大胆発言には胸を何度も締め付けられましたね。深い意味はない、何気ない一言でも人に魔法を掛ける響は女の子で言うところの小悪魔的存在なのかなぁ、と。
一方詩音はピュアですね。汚れを全く知らない純白。プリンスという名にふさわしい爽やかな動きが容易に想像できて、そんな彼に浴びせられる黄色い悲鳴すら聞こえてきそうです。

まだ、一章迄しか読めてはおりませんが、キリの良いところでレビューを書かせていただきましたっ。
今後も、ゆるりと楽しませていただきますっ!

★★★ Excellent!!!

5歳の時、ピアノコンテストで出会った詩音と響。演奏スタイルも育ち方も違う天才二人がやがて再会し、ユニットを結成していく……。

主軸の一つはもちろん、作者様の大好きなクラシック。正直曲も用語も全て知っているわけではありませんでしたが、それでもすらすらと頭に入ってくるのは読み方に配慮した構成と筆致の賜物です。

その他にも、楽器、作曲家、動植物、ファッションと、きっと普段から興味を持ってるであろうことがよくわかる知識が綺麗に小説に溶け込み、唯一無二の作品に仕上がっています。

もちろん、ストーリーも上質。ただの天才音楽家のサクセスストーリーに終わらず、それぞれの生き方と人間模様、そして試練を乗り越える過程が「ドラマ」として成立しています。
その見せ方の流暢なこと。読みやすいったらありゃしない。始めはコメント入れてましたが、最後は夢中でページをめくっていました。

アンダンテで読ん始め、最後はアレグロに読了する。皆さんもこの楽曲、楽しんでください!

★★★ Excellent!!!

正直な所、私はクラシックをはじめ、音楽に詳しくありません。
学校で聞いた曲や有名曲等を「知ってるなぁ」と思う程度。
そんな私でも十二分に楽しめました!

プロローグから「何? このイケメンズ!(顔立ちも、ですが演奏スキルが凄いのですよ)」と引き込まれるのですが、曲は分からなければ検索してしまえば良いですし、BGMで流しながら拝読すると楽しさも倍増です。
きっと音楽に詳しいともっと楽しめるのでしょう。

音楽だけでなく、人物や彼らの描くドラマがまた素敵です。
二人の運命的な邂逅と、そこから始まる色々な意味でハラハラドキドキさせられるドラマ展開。
そこを乗り越えて深まる絆。

最後に迎える……

何が待ち受けるのかは、ぜひ作品を読んでご確認ください。

★★★ Excellent!!!

プリンスと狼。二人が再会した時、誰もを魅了するコンサートの幕が上がる――!

非常に安定感のある現代ドラマです。
音楽、それもクラシックやピアノという硬くなりがちな題材を取り扱っているにも関わらず、読んでいて苦にならない。どころか、物語を読みすすめる間中、どこからか音楽が響いているような空気感は見事です。

確かにこれは音楽を題材にしたお話です。そこは疑いようがない。
けれども、このレビューで私が申し上げたいのは、本作の真骨頂は響と詩音、そして花音の生き様にあるということです。

個々人で非常に高い能力を持つ三人ですが、物語冒頭で互いに知り合うことによって、それぞれの強みをさらに活かすことが出来る。けれども、誰か一人でも欠けてしまえば、一人で演奏していた時よりも弱くなってしまう。この絶妙な関係性が私を惹きつけて止みません。
ピアノ曲は右手と左手、どちらか片方が欠けても成立しません――えぇもうまさに、三人の関係性はピアノ、あるいは音楽そのものと言っても良いと思います。


少しでも興味もたれたそこの貴方、是非一度、本作を読んでみてください。
彼らの奏でる音色に酔いしれること間違いなしです。

★★★ Excellent!!!

幼い頃にピアノコンテストで出会った二人。
対照的な生活環境にいる二人だが、その邂逅は二人に楔を打ち込んだ。

東の王子。西の狼。関東と関西に住む二人だが、大人になってから偶然の再会を果たす。
そして「よんよんまる」というユニットを立ち上げるのだが……。

クラシックの知識をスパイスに、天才的な二人の関係が描かれた珠玉の作品。


この作者さまの作品は、常に読者思いだ。

毎話のキレのよさ。無駄がない。大事なところだけを厳選して出すのだ。
その奥にどれだけ多くの言葉があったのか計り知れない。
磨きに磨いて、蛇足など一切なしに見せてくる。
心躍るシーンも、鬱展開も、それを乗り越える過程も、人との繋がりも。

一曲の交響曲を聴くように、抑揚をつけ絡み合いながら流れ、やがて指揮棒が止まる。
喝采があがるまでのほんの一瞬の無音の時。
言葉には出来ない感情が高まった至福の時が、この小説にはある。

この余韻のために物語は紡がれた。この作品を読まずして、何を読む。
珠玉の音楽家ドラマ。ご堪能あれ!!

★★★ Excellent!!!

音楽用語が多用される本作ですが、わからなくても全く平気に読めます。知っていると10倍楽しいかも知れませんが、知らなくても面白さが1/10になることはありません。斯く言う私も出てくる曲名から音をすぐに思い出すことは出来ませんし、知らない曲だってあります。オーケストラ畑ではないので。

だがしかし、音楽的な事は知らなくても楽しめるのです。

ほら、医療モノのドラマ見る時だって、やたらと難しい用語が飛び交いますけど、みんな楽しんで見ることができますよね。警察や法廷ものだってなんとなくわかった気になって楽しめますよね。それです。

音楽がメインの話に見えるけども、大事なのは人間関係です。そこを補完したりスパイスになったりするのが作中多用される音楽。でも素材自体が上等なので、スパイスなしでも★3ついっちゃうのです。

「音楽というメディア」を通じて信頼関係で結ばれる主人公たち。
わかるなぁ。共通のプロ意識とか実力があると、バックグラウンドなんてどうでもよくて、目の前のその人と意気投合せずにいられなくなるという感覚。

主人公たちのありよう、生き様――それ自体がすでにエンターテインメントであり、それを写し取った本作もまた、当然ながらエンターテインメントなのです。

私の脳内では既にドラマ化しています。
キャストも決まっています。
そのくらい描写が生き生きとして詳細だったということです。
おすすめです!

★★★ Excellent!!!

私は、あまりBLというジャンルを読んだことがありませんでした。ピアノに関しても『猫踏んじゃった』を『猫どこいった』レベルで奏でるがせいぜい。

だけど、これは美味!!
というか考え方がごそっと変わった気がします。


音楽とかわからない? 大丈夫です、さ、どうぞどうぞ。読めばきちんと音楽が聞こえますからね。踊るような流れるような描写はまるで五線譜をなぞるように旋律を響かせてくれます。



ピアニストは白の王子様、
作曲家は黒の狼。

育ちも性格もその音楽も正反対のふたりは、幼少期、ただ一度の邂逅で互いの中に強烈なインパクトを残し、

やがて、再会を果たす時、ふたりはひとつの音楽を奏で始める。

え? BLはちょっと?
大丈夫です、さ、どうぞどうぞ。何の抵抗も無く読めますとも。私が証明です。可愛い。純粋で可愛い!
私が間違ってた。人と人がひかれ合う物語に、ジャンル分けなど不要でした!


これは欠けたものを埋めあって、ぱちりと形を作るふたりの心の物語です。彼らがこの物語の最後にどんな音楽を奏でるのか、前のめりで応援しています!

★★★ Excellent!!!

 この作者さまの別作品(KADOKAWAビーズログ文庫『いちいち癇に障るんですけどっ!』)は書籍化もされています。だから、この作品もおもしろくないわけがないですし、文章が確かなのでどんどん物語に引き込まれます。
 やっぱり筆力は大切なんだなとよくわかります。ヨム人はもちろんですが、カク人にこそ読んでほしい作品です。
 鳥村楽器、ショージン電気、ヤスダ電機、プリンセスホテルなど、小ネタもちょっぴり笑えます。

 それと、作品とは関係ありませんが、作者さまのプロフィールに『ユルい変態』とあるものの、実のところは『ガチの変態』らしいです。全方向からの絡みを歓迎されています。

★★★ Excellent!!!

初レビューののち、読了まで楽しみに追ってしまいました。

二人の天才ピアニスト(片方は作曲とトランペットも)が織りなす、音楽の世界。鍵盤ヴィルトゥオーゾのリストのような華麗な演奏で観客も読者も魅惑する。
互いに幼少時から意識し合う二人がどんなふうに心を通わせ、変化していき、その中には楽しいだけではない。苦悩も……ネタバレは控えますが、先が楽しみで展開に目も耳が離せません。

個人的には音楽に魅了されました。そうそうこれ! と興奮するばかり。ロマン派以降がメインですけれど、出てくる曲目はクラシックだけではありません。作曲家の主人公のアレンジにも心躍ります。そしてその演奏プログラムの組み方がまた秀逸! これは、という曲目です。
作者様の非凡な知識に、音楽好きの方もそうでない人も、おおっと嬉しくなり、驚き、実際に曲を聴きながら読んでしまう(私もやりました)。

そうです、クラシックって、固くないんです、楽しいんです! 作曲家も、曲の中にたくさんの遊びも混ぜているのだし。
演奏会のベルが鳴ったつもりで、読んでみてください。
演奏会と言っても、畏って聞くような堅苦しくつまらないものではありません。18世紀も19世紀も、演奏会では笑ったり話したり、打ちとけた雰囲気の中で、音を通して、奏者と心を通わせるのですから。

奏者二人はこっちの心をぐいぐいひき寄せてきますから、さあぜひ!
そしてどの時代にも、芸術家には支えが必要です。ハイドンだって弟子たちが彼のために仕事に精を出しますし、ベートーヴェンにも秘書役がいました。
主人公二人には、なんとも敏腕で魅力的なお姉さんが(格好いい)ついています。
この「クール」なもう一人の才能にもご注目を。

プリンスとウルフ、実は表はそう思われる二人の性格ですが、個人的にはもしかしてこれは……と思ったところも惹かれました。

これはもっとたくさんの方に読… 続きを読む