彼らの奏でる旋律に、貴方もきっと心を震わせる

プリンスと狼。二人が再会した時、誰もを魅了するコンサートの幕が上がる――!

非常に安定感のある現代ドラマです。
音楽、それもクラシックやピアノという硬くなりがちな題材を取り扱っているにも関わらず、読んでいて苦にならない。どころか、物語を読みすすめる間中、どこからか音楽が響いているような空気感は見事です。

確かにこれは音楽を題材にしたお話です。そこは疑いようがない。
けれども、このレビューで私が申し上げたいのは、本作の真骨頂は響と詩音、そして花音の生き様にあるということです。

個々人で非常に高い能力を持つ三人ですが、物語冒頭で互いに知り合うことによって、それぞれの強みをさらに活かすことが出来る。けれども、誰か一人でも欠けてしまえば、一人で演奏していた時よりも弱くなってしまう。この絶妙な関係性が私を惹きつけて止みません。
ピアノ曲は右手と左手、どちらか片方が欠けても成立しません――えぇもうまさに、三人の関係性はピアノ、あるいは音楽そのものと言っても良いと思います。


少しでも興味もたれたそこの貴方、是非一度、本作を読んでみてください。
彼らの奏でる音色に酔いしれること間違いなしです。

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