今と過去、何気ない風景に想いが溢れる

まるで、その景色を見てきたかのような、感情と絡む日常の描写が本当に美しくも切ないです。もとより、湖上様のエッセイの大ファンなんですが、日常の切り取り方というんでしょうか。とにかく、そういう視点が存分に本作を彩っているなと思います。

決して、声高に心を描写している訳じゃない。なのに、読み進めるうちに、マリアの気持ちが痛いほどに伝わってくる。家出の目的地に着いて、ジャクリーンの踏んだ土地を目にした時、マリアは…そしてあなたは、何を思うでしょうか。

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