音楽好きな方は勿論、そうでない方も二人の奇才が音楽好きにしてくれます!

初レビューののち、読了まで楽しみに追ってしまいました。

二人の天才ピアニスト(片方は作曲とトランペットも)が織りなす、音楽の世界。鍵盤ヴィルトゥオーゾのリストのような華麗な演奏で観客も読者も魅惑する。
互いに幼少時から意識し合う二人がどんなふうに心を通わせ、変化していき、その中には楽しいだけではない。苦悩も……ネタバレは控えますが、先が楽しみで展開に目も耳が離せません。

個人的には音楽に魅了されました。そうそうこれ! と興奮するばかり。ロマン派以降がメインですけれど、出てくる曲目はクラシックだけではありません。作曲家の主人公のアレンジにも心躍ります。そしてその演奏プログラムの組み方がまた秀逸! これは、という曲目です。
作者様の非凡な知識に、音楽好きの方もそうでない人も、おおっと嬉しくなり、驚き、実際に曲を聴きながら読んでしまう(私もやりました)。

そうです、クラシックって、固くないんです、楽しいんです! 作曲家も、曲の中にたくさんの遊びも混ぜているのだし。
演奏会のベルが鳴ったつもりで、読んでみてください。
演奏会と言っても、畏って聞くような堅苦しくつまらないものではありません。18世紀も19世紀も、演奏会では笑ったり話したり、打ちとけた雰囲気の中で、音を通して、奏者と心を通わせるのですから。

奏者二人はこっちの心をぐいぐいひき寄せてきますから、さあぜひ!
そしてどの時代にも、芸術家には支えが必要です。ハイドンだって弟子たちが彼のために仕事に精を出しますし、ベートーヴェンにも秘書役がいました。
主人公二人には、なんとも敏腕で魅力的なお姉さんが(格好いい)ついています。
この「クール」なもう一人の才能にもご注目を。

プリンスとウルフ、実は表はそう思われる二人の性格ですが、個人的にはもしかしてこれは……と思ったところも惹かれました。

これはもっとたくさんの方に読んでほしい! 

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