己の醜さ故に幸せを受け入れられなくなっていた主人公。
しかし、見た目を気にしない少女を助けることで、少しずつ世界が広がっていきます。
でも、主人公はその幸せを受け入れてはいけないと壁を作ります。
そうせざるを得ないほど、傷ついてきた過去があるから。
読んでいて、素直にその優しさ受け入れよ? 受け入れて良いんだよ? その子の思いは受け入れてくれて良いんだよ? と、やきもきしましたが、簡単に受け入れられない気持ちも分かったり。
やきもきしながらも、優しい世界と触れることで徐々に心境に変化がもたらされ、それをぶち壊しに来た『旦那様』の登場に、んんんー! となりつつも、ついつい二人の行方が気になる作品です。
この物語は、強大な一人の魔法使いが存在する世界で、人々から恐れられるつぎはぎだらけな容姿を持つ男性と、その男性に助けを求めてきた若い女性フリィとの関係を描いたファンタジー作品です。
二人がゆっくりと育む恋愛要素も素晴らしく、その中で描かれるヒューマンドラマにもぜひ注目していただきたいです。
特に主人公の男性の心情の変化が、ひしひしと優しく伝わってきて、その温もりある人物像に涙、涙でした。
出会った女性、フリィと共に過ごしていく中で培われる心の変化、二人の変化にもぜひ注目していただきたいなと思います。
そして物語が進んでいく中で、それぞれ過去に事情を抱えた男女二人がお互いの存在を感じ、少しずつ築いていくあたたかな時間もぜひ体感してほしいです。
最後に、二人が行き着くラストがまためちゃくちゃ素晴らしいのです。
本当に最高のエンディングでした。
ぜひこの二人の行き着く姿を、未来を、その目で確かめていただきたいなと思います。
気品があり心優しくも、いろんな生き物の皮膚を移植した恐ろしい顔をもつ男。
無邪気で明るくも、人間の頭がそれぞれちがう『なにか』にしか見えない少女。
そんな二人ががらんとしたお屋敷で共に暮らすことになるところからお話ははじまります。『魔法使い』なんかの登場からファンタジックな世界であることがわかりますが、小難しい魔法やスキルなんかの登場はなし。絵本の中のような優しいロマンチックさに彩られた世界観に、主人公の穏やかな語りがよく合います。
この二人、お互いに幸せだったとは言い難い環境や運命を持っており、読者としてはひたすらこの二人の幸せを願わずにはいられなくなりました。自分のことをバケモノだと思っている主人公が少女と共に生きることでだんだんと自分の価値観の視野を広げていくくだりは、普段の私たちの生活にも通じるところがあるなと感じ入ります。自分だけ思ってるマイナスなことって、ありますよね…。
歪ながらも心を通じ合わせた『家族』ができあがったところで、これまたおとぎ話定番の暗闇が降りかかります。なんと主人公を残したまま屋敷を出て行ってしまった身勝手な『旦那様』が、突然帰ってきてしまうのです。たしかに帰還を待ち侘びてはいたけれど、もう自分にはさらに大事なひとができてしまった。
さあ主人公、どうする──!?この先はぜひ、本編にて!
……と、こんな引っ張り方をしなくてもきっと自然と、素朴で優しい主人公が幸せになる結末を追い求めたくなるはず。やさしいひともわるいひとも『わけわからんひと』も出てくる、短くも個性豊かな物語。
あなたの目に、あなたはどう映りますか?
そしてあなたにとって大事な人は、どんな『かたち』をしていますか?
私も青空を見上げなから、のんびり考えてみようと思います。
フリニアーデが出会ったのは、普通の人が見たら一歩後退ってしまうような見た目でした。
でも彼女には、そんな彼の頭がとても優しい、私たちが知っているあるものに見えました。
この話を読んでいろんなことを考えましたが、そのうちの一つを個人の意見として書かせてください。
フリニアーデの「見え方」は、彼女の価値観なのではないかと思いました。どんな人か内面を捉える彼女には、どう見えているのか。
街の人も、オイの中身を知れば近づいていきます。彼らは見た目で怯む部分があったとしても、中身を大事にする人たちなのでしょう。
でも、オイには信じられない。それは彼が、「旦那様」以下、世間の価値観を刷り込まれてしまったからでしょう。
容姿だけではなく、食べ物とか、趣味とか、物語の好みも、何を幸せと思うかも、千差万別です。
ですから一般の好み、とか、一般の価値観、とか、そういうものを押し付けて、本人が判断できる前に決めつけないで欲しい。オイのように苦しんでしまいます。
誰が何を尊いと思うかはそれぞれなのです。フリニアーデの幸せは、フリニアーデだけのものなのです。
神はそれを見極めたかったのかもしれません。
個人の考えで、うまく表現できているかわからないのですが、じっくりと考えてみたい方にお薦めです。
恐ろしい見た目ゆえに、『化け物』と呼ばれて忌避され、屋敷で主人の帰りを待ってたったひとりで暮らす青年。
ある時、その屋敷に逃げ込んできたのは、不思議な目を持つ少女。
悲鳴を上げて逃げられるかと思いきや、少女は青年を怖がらず、一緒に暮らし始めることになって……。
少女・フリニアーデが来たことにより、少しずつ変化し、色づいてゆく日々が丁寧に描かれています。
思わず、「いまのこの暮らしがずっと続きますように!」と祈ってしまうのですが、残念ながらそうは問屋が卸さず……。
彼等の物語を、どうぞ最後まで見届けてあげてください!(*´▽`*)
何百年も語り継がれる名作の童話を読んでいるかのような感覚を味わえました。アンデルセンの「雪の女王」を彷彿とさせる、壮大な世界観を切り取った序が、至福の読書時間へいざなってくれます。
魔法の存在する世界。眠りも食事もいらない「おれ」は、出会った人間から怯えられる見た目をしていました。
他者との交流が断たれ、大きな屋敷にひとりきりで住んでいた「おれ」に聞こえた、助けを求める声。
逃げてきたことが分かる身なりの少女・フリニアーデは「おれ」を避けることなく、微笑みすら浮かべていたのでした。強がりからくる微笑みではありません。大人の頭部のみが異形に見える彼女にとって、「おれ」の頭は化け物ではなくふわふわで真っ白な雲に見えていたのです。
行き場のないフリニアーデを屋敷に住まわせることで、「おれ」は今まで知らなかった言葉や感情に少しずつ触れていきます。
この幸せな日々がずっと続いてくれたらいいのに。あまりの尊さに泣きたくなる世界を傍観していたいと願う中、言いようもない危険が迫っていき――
カクヨム公式自主企画『眠れる作品お披露目キャンペーン』に感謝せずにはいられないシリアスファンタジー。もしも小学校中学年のときに出会えていたら、読書感想文の原稿用紙がいくらあっても足りないくらい筆が動いたに違いありません!
つぎはぎだらけの顔を持つオイが、人の顔が別のものに見える少女フリニアーデと出会うところから始まる物語。
フリィにはオイの顔が白い雲に見える様子。つぎはぎだらけの顔に怯えることなく、二人は一緒に暮らし始めますが……
見た目はおぞましいけれど心の優しいオイ。フリィの存在によりオイが少しずつ変わっていく様子は本当に温かくて、二人の幸せを願わずにはいられません。しかしずっと留守にしていたオイのご主人様が帰ってきた時、物語に暗雲が立ち込めます。
なぜオイの顔はつぎはぎだらけなのか?なぜフリィには人の顔が違うものに見えるのか?といった謎も明かされていきます。二人が過酷な選択を迫られたとき、何を選ぶのか。
すべては気まぐれな神様の匙加減。そんな世界でささやかな幸せを守ろうとする二人をぜひ見守ってください。
とある理由から、つぎはぎだらけの顔(いろんな動物の皮膚が移植されている)をもつ男がいました。
男はその異様な外見から敬遠されていましたが、とある少女が助けを求めてきます。
フリニアーデと名乗る少女は、男を怖がりません。
なぜなら、彼女は視覚に少々秘密を抱えていたからです。
そんなふたりが一緒に暮らし、心を通わせる中で、周囲の人々の態度もだんだんと変わっていく。
まるで童話のような世界であり、とても美しいお話です。
もちろん邪悪なものもいますが、ふたりは自分たちの幸せを守るために行動を起こします。
最後に「幸せ」を手に入れた男は、「この幸せがいつか奪われるんじゃないか」と不安になります。
そのときに、フリニアーデはなんと答えるのか。
ぜひぜひ、物語を読んで確かめてください。
とても素敵なお話です。