ダンディーでもチョイ悪でもないからこそ共感できる痛快なおっさん物語

無職・低レベルのおっさんが武術と知恵で一見格上の相手に勝利をおさめていく、痛快な異世界ファンタジー。

最弱に見えて実は最強という小説はいくつかあるけど、学園ものでもなく、さらに魔法や異能がチート級でもない、というのが新しい。本当に、力と頭脳だけで勝っていく。作者様の得意とする戦闘シーンは、読んでいるだけで描写が頭に浮かぶのが素晴らしい。

でも多分、このおっさんがいわゆる「ダンディー」で「チョイ悪」なら、ここまで惹かれない。彼のどこか厭世的な、人生を悟り、諦め、それでも生きていくという哲学が、ある種のリアリティーになって、どことなく共感しながらぐいぐい引き込まれるのだと思う。

恋愛もギャグも泣かせるシーンもあって読み応えも抜群。おっさんに感情移入しながら、戦いに身を投じてみてください。

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