3 星座通り〈ゾディアック・ストリート〉
拝啓、お母さん。
ここの建物は砂漠の砂から作られた、"アドベ"という
アドベは砂と粘土、
遠くから見るとクリーム色の煉瓦はキレイな壁だけど、近くに寄って見ると、混ぜ込んだ藁が飛び出て、不格好です。
砂で出来てるのでモロイと思いきや、日干しで固められてたアドベは、石のように固くて丈夫に作られ、しかも熱を吸収して、ゆっくり熱を逃していく優れ物。
なので建物の中は涼しさ保ち、砂の土地では快適に暮らしていけます。
全ての建物が、砂で作った煉瓦で出来ているので、まるでミルクティーを町全体にこぼして色が落ちなくなくなったようです。
アドベ煉瓦は煉瓦同士がくっつきやすいように…………その、えっと……動物のウンチが混ぜられています。
とは言っても、流星が降る土地では、アドベ煉瓦で作られた壁は紙同然です。
僕はこのアルミという人についていって、仕事を勉強中です。
アルミはこのゾディアック・ストリートを担当する【流星打ち】
僕は安全の為にピスヘルメットをかぶって仕事してるけど、アルミは何もかぶらず頭のポニーテールを揺ゆらしながら、か細い腕で重たいハンマーを振り回して、軽々と隕石を弾きます。
やっぱりレベルが全然違う。
隕石が止むとアルミは「よし! こんなもんでしょう」と言いながら、アルミが腰にぶら下げたブブゼラを掴むと、口元までよせて大きく深呼吸した後、思いっきり息を吹き込む。
ブブゼラの音を聞いた町の人達は、家々から扉を開けて出て来た。
なんだか春の訪れを喜ぶ動物みたい、巣穴から顔を出したみたいです。
みんな手で日差しをさえぎりながら、晴れた青空を眺めて、隕石が本当に降らないか確認。
空が危なくないとわかり、町に咲いたアサガオのように笑顔が溢れます。
それを見たアルミは腰に下げた袋を手に取り一言。
「よし、
流星打ちを雇ってる地域から、報酬としてお金を集めて回ります。
お礼を言ってお金を渡してくれる人や、お金の他に感謝の気持ちを込めて、食べのを添えてくれる人がいます。
いろんな人から感謝されますが、中にはこんな人も……。
「ちょっと、おじさん! 約束の報酬と違うじゃない!? 約束は5000ラメラなのに2500ラメラしかないじゃん!」
ピザ屋のおじさんから貰った報酬は、大きなメダル2枚と小さなメダル5枚。
2500ラメラだったらピザ1枚は食べられる。
アルミが八角形のメダルを見せて抗議すると、ピザ屋のおじさんは怒鳴った。
「グダグダうるせぇ! ガキんちょ! 見ろ?」
そういうと、ピザ屋のおじさんは自分のお店の2階を指刺す。
2階の窓ガラスがキレイに割れていた。
「お前らが打ちそこねた
「冗談じゃないわよ! こっちは命はってんのよ?」
「知るか! 俺は隕石から店を守って欲しいから仕事を依頼してんのに、まともに仕事出来てねぇじゃねか? いいか? 大人の世界はキチンと仕事ができねぇと、金すらもらえねぇどころか、逆に金を払えって文句言われんだ。それを考えたら金もらえるだけでも、ありがてぇと思いな」
そういうと、おじさんは店の中に入り、力いっぱいドアを閉めた。
アルミは地団駄を踏みながら愚痴をこぼす。
「あのオヤジィィ、ハンマーで頭打ち飛ばしてやろうかぁ?」
女の子なのにこの荒い口ぶり。
それがあってか、地元では「じゃじゃ馬アルミ」という異名がついて回ります。
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