今だからこそ現れたといっても過言ではないのです

 題名から受ける印象、冒頭の展開、それら全てがライトノベルというカテゴリーから受ける軽さを備えた物語です。

 TS、最強、カリスマ…一見してテンプレートになりそうな要素が山盛りなので、冒頭だけ、序盤だけで斬り捨てるならば、その通りなのかも知れません。

 でも、それは確実に勿体ないのです。

 明るい文体で、集まる仲間も、それをとりまとめるぼっち姫も、褒め言葉としての「ろくでもない」という言葉が実によく似合うと感じるのですが、物語が進む内に、本当に碌でもない敵の存在が現れます。本格的なファンタジーです。

 しかしながら、重厚な部分ばかりを見るのも、やはり勿体ないと思います。

 日常系を思い出させるような軽さを伴っているのも、本作の特徴であり、そのバランスは一言でいって「今だからこそ」と感じずにはいられない良さがあります。

 大長編といっていい物語ですが、そのバランス故の勢いが、文字数を感じさせない速さで読了させてくれるはずです。

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