舞台がどこでも寒くない。何故なら心が暖かいから

 文字通り、不思議な郵便職員が死者へ手紙を届ける物語です。

 創作で死者と、それに関わる者と言えば、兎角、未練を残し、断ち切りがたい、ともすれば危険な存在として描かれがちですが、ここに登場する人物に、そんな恐怖は無縁です。

 言うならば、ありふれたもの。

 ありふれた感情、ありふれた善意、ありふれた人たち。

 でも、それら当たり前の感情を抱くこと、また触れることは、現実の生活では、残念なことに殆どない。

 だからこそ、物語で触れることは、大切な経験になるはず。

 数千の文字の中に、それら、ありふれているのに出会えないものが詰まっています。

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