居なくなってから気づくのは人間の悲しい性と言えます。
何故、側に居たときにはそれに気づけなかったのか。
この物語ではすでに居なくなった人に思いを伝えます。
でも、手紙は返信を書かないと一方通行になります。
死んだ人に思いを送る、だけど返事はもらえない。
別にこれは物語の中だけの話ではありません。
この事実は、現実でもそう変わらない。
あなたの周りの大切なものに目を向けてみましょう。
後悔する生き物こそ人間です。
後悔しない人生も、またないのでしょう。
それでも、その後悔を拾いながら歩いていくことは出来ると思います。
伝えずに胸に秘めた思いは、ありませんか?
文字通り、不思議な郵便職員が死者へ手紙を届ける物語です。
創作で死者と、それに関わる者と言えば、兎角、未練を残し、断ち切りがたい、ともすれば危険な存在として描かれがちですが、ここに登場する人物に、そんな恐怖は無縁です。
言うならば、ありふれたもの。
ありふれた感情、ありふれた善意、ありふれた人たち。
でも、それら当たり前の感情を抱くこと、また触れることは、現実の生活では、残念なことに殆どない。
だからこそ、物語で触れることは、大切な経験になるはず。
数千の文字の中に、それら、ありふれているのに出会えないものが詰まっています。