花いちもんめ

星都ハナス先生の『花いちもんめ』は不倫をテーマにした詩です。
全編、女性視点で綴られています。　
読み進めるにつれ、比類なき心理描写の巧さに惹き込まれました。

愛と言うより、もはや執着。
色濃く漂う背徳の影に見え隠れする独占欲に畏怖を覚えるほどでした。

残された手段は、もうそれしかないのか？
これ以上、覗いてはいけない。聞いてはいけない。
だけど……！

是非、この破滅の愛の行方をその目で見届けて下さい。

かってうれしい花いちもんめ
まけてくやしい花いちもんめ

欲しがられる人はいつも求められる。
そして、行ったり来たり。

歌と共に子供の情景が蘇りました。
そして「あれって如何したら終わるのだったろう…？」と疑問がふわりと過ぎります。
エンドレスに続くかに思える、花いちもんめの終え方、覚えていらっしゃいますか？

エピソードタイトルに並ぶ、ちょっと不思議な名詞の数々。
そのひとつひとつが、ある女性の思いを、丹念に、具体的に表現していきます。

丁寧に、余すことなく。やがて激しく、大胆に。

一編ごとの積み重ねが作り上げる、ひとつの大きなストーリー世界。
いったんつかまれば、この世界にどっぷりとはまり、抜け出せなくなってしまいます。

それほどの力を秘めた、世界観の素晴らしい詩編だと思います。

　恋、道ならぬ恋、きれいごとだけでは済まない世界の表現に、とても惹かれました。問いかけ系やお願い系の描写もたくさんありましたが、とても女性らしいと感じました。
　かつて向田邦子さんは、生前、「皆きれいごとばっかり。私はセックスが描きたいのよ」とどなたかに語ったと記憶しておりますが、そうした女性と男性のどろどろした世界を醒めた目で本当に描けるのは、結局は女性なのではないかなと、勝手に考えています。
　源氏物語だって、女性が描いたのです。
　星都さんの描く女性には、男性から見ると、かわいらしさや恨みつらみなども強く感じられますが、素直に描写されていると思います。
　詩や短歌や小説を読むことは、い…続きを読む

片想いしていた時の懐かしい気持ちを思い出しました！

どこか退廃的な雰囲気を纏う悲恋の数々。
情熱の底に眠る確かな優しさは、人を狂わせるのに充分である。

裂いて嬉しい　はないちもんめ。
鬼を殺そう　そうしよう。