第二章
わたしとスネークヘッド
13.ニューフェイスお迎え計画
生体がいなくなってしまっても、水槽が忽然と消えたりはしない。2匹目のウーパールーパーを落としてしまった(※注1)ことで、60cmレギュラー水槽が空くことになった。
なお、わたしの水槽台はGEXが販売している金属製の2段式ラックであった。もちろん水槽用のものなので、そのへんのホームセンターで売っているようなメタルラックとは強度が違い、倒壊する心配などはない。が、ここで重要なのは2段式であるということで、レギュラー水槽は上のほうに設置していた。
より目立つ側の水槽が空というのは、いかにも寂しい。いや、もちろん適切に管理できなかった自分が悪いのだが、そうは言っても現実として水槽はある。水草も砂もそっくりそのまま残っている。
これを活用しないのは無駄でしかない。
喪に服しているばかりでは先に進めない。失敗の経験は残ったほうのウーパールーパー飼育に活かすとして、わたしは別の生体に挑戦する計画を立てはじめた。
とりあえず、黒ウパの死因となったと思われるのは水質の悪化である。水は全て取り換えることにして、水草や砂も洗浄。バクテリアが復活するのを待ちながら、ゆっくりと生体を探すことにした。
そもそも水質が悪化したのは、水草の陰に隠れてしまった餌を発見・処理できなかったことが原因。となれば、できるだけ活発に動き回り、自ら能動的に餌を探しに行ける生体が望ましいのではないかと考えた。もっと言えば、そもそも沈むのではなく浮くタイプの餌を食べるヤツのほうが安全そうだなと思った。
そんなとき目に入ってきたのがスネークヘッド(※注2)だ。
彼らはとにかく視力がいい。自然下では水面に落ちてきた虫やカエルを捕食しているわけだから、浮くタイプの餌を使える。底に落ちた食べ滓を処理するくらいなら、生き餌も兼ねてエビを入れておけばうまく回ってくれるはずだ……。
こうして、スネークヘッドをお迎えするという方針が決まったのだった。
◇ ◇ ◇
※注1:アクアリストは生体が死ぬことをよく「落ちる」と表現する。『アクア・デイズ』第27話参照。琴音はあまり快く思っていないが、わたしは使う。
※注2:ライギョの仲間。詳しくは『アクア・デイズ』第20話~第23話を参照されたし。
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