2.共同生活は突然に
クレーンゲームでウーパールーパーをゲットしたわたしは、予定どおり友人との約束を済ませ、電車に乗って最寄り駅まで戻った。当然、ウーパールーパーはこの間ずっと容器に入ったまま、わたしの鞄の中に収められていたことになる。
ゲームセンターの光と音に比べればマシであったろうとはいえ、わたしが飼った生体の中で最も移動ストレスに晒された個体は間違いなくあのウーパールーパーだ。再発がないようにしたいと大いに反省するところ。
さて、最寄り駅に着いたわたしだが、アパートに直行するわけにもいかない。
なにしろ朝に部屋を出るとき、まさかウーパールーパーを連れて帰ってくることになるとは夢にも思っていなかった。飼育設備なんて整っているわけがない。
自分の後先考えない行動を後悔しかけたわたしだったが、幸い駅からアパートに向かう道中にはホームセンターがあったので、そこで器具を買い揃えることにした。
必要なモノは、まず何はなくとも水槽。それから水質調整剤だと考えた。わたしは家がなければ生きていけないし、空気がなければ窒息してしまう。水棲生物にとっての家は水槽であり、空気に相当するのは水なのだ。
そういうわけで、幅30cmの水槽セットを購入した。水槽本体とガラス蓋、外掛けフィルター、水質調整剤がセットになった商品である。これならひとまず最低限の環境は確保できる……わたしはほっとして帰路についたのだった。
――しかし。
既に『アクア・デイズ』を読まれた方(※注1)は察しておられるかもしれない。
30cm水槽という選択は、ハッキリ言って下策なのであった。
◇ ◇ ◇
※注1:幅30cmの水槽でウーパールーパーを終生飼育することは不可能である。詳しくは『アクア・デイズ』第29話~第31話を参照。
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