窒息しそうな緊張感に耐え兼ね酸素を求めて口を開けば、恐怖が流し込まれる

皆様の学校にもいませんでしたか?
まるでクラスの絶対的支配者にでもなったかのように振る舞う、恐ろしい教師が。

私もその覚えがある一人で、読み進めながら当時のことを思い出してキリキリ胃が痛くなりました。
女教師・里中の一挙手一投足にビクビクするクラスの一人になったような心地がして、俯いて嵐が過ぎるのを待つ彼らの気持ちが痛いほど理解できて、本当に怖かったです。

ところが、ホラーではないのですよ。
いや……ホラーでもあるんですけれど、カテゴリーはしっかりミステリーなのです。

担任・里中の打倒を目論む主人公・満のクラスは分裂し、更に暴走し、取り返しのつかないところに行き着いてしまいます。

息をもつかせぬ展開でありながら、じわじわと力を込められるという絶妙の加減で追い詰められていくのですが、その正体が実に謎めいている。

巧妙に姿を隠した得体の知れない存在に少しずつ精神を削り取られ、どんどん動けなくなっていくのです。

文字を目で追うだけで、喉を掴まれるような生々しい息苦しさを感じさせる筆力は圧巻の一言!

怖いのに読んでしまう、見たくないのにページを追ってしまう……誰もいない場所から視線を感じるような、そんな不気味な怖さがじっとりと侵食していく作品です。

あ、それでもホラーではなくて、ホラーも満載なミステリーです。大事なことなので二度言わせていただきますね!

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