子供達の無邪気で、残酷な、正義のお話

この作品を私が初めて閲覧した時、大きな衝撃を受けたのを覚えています。
その時の衝撃は、今でも上手く言葉に出来ません。

とある田舎町の小学校の五年一組の担任里中は、ヒステリックで威圧的な大人で、五年一組の生徒達から恐れられていました。主人公の咲洲満(さきしま みつる)は友人達と力を合わせて、里中から平穏で楽しい五年一組を取り戻そうと考え、賛同してくれたクラスメイト達と団結し作戦を考える裏で資料館の小さな図書室で出会った1つ年上の少女、押切保志香(おしきり ほしか)と交流を深めていく……

私は「僕らの七日間戦争」のような作品だとイメージしていました。しかし、その予想は大きく裏切られて、自分の中でのこの作品のイメージが大きく変化していく事になります。

里中から五年一組を取り戻す……その為に行動していた満達は、里中から取り戻した五年一組が自分達の知っている五年一組では無かった事に苦悩します。
里中についていた生徒に対するイジメ、クラスの新たな支配者になろうと考えるもの、保志香の言動に対する違和感、近所の中学生の介入……かつて里中を倒せば手に入ると思っていた平穏で楽しい五年一組はただの理想論に過ぎなかったのです。

そして周りで起こる妙な事件や勃発するイジメの中で、満は少しずつ何かに気づき、そして、ある選択をします。

子供は、純粋でしょうか?大人は、歪んでいるものでしょうか?
大人の支配から逃れ、自らの意思のみを考えて行動する子供は、獣と何が違うのでしょうか?

少しずつ歪み、壊れ、暴走する子供達の行く末は?

衝撃の展開が待ち受ける、素晴らしい作品です。

1月25日 安藤栞

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