扉を開け続けて

 序盤から、壮大にして加速を募らせ続けるお話であった。それでいて地べたに足をつけた、確かな描写が途切れず続いて作品を磨き上げている。
 作中で題材となる要素をここで一つ一つ列挙するのは、個人的には止めておこう。なにか、大事な読後感に差し障りかねないような気がする。無論、私がそうだというだけで他人様にどうこうしたいのではない。
 ただ、種としての竜なり人類なりの行く末を描いていくと必然的に居心地の悪い成り行きも出さざるを得ない。作者はそれをあやふやにしたりせず、そこをどう乗り越えるかで一つの道しるべを呈示したことは間違いない。
 昨今の流行からは外れているかもしれないが、是非ともこうしたスタイルを貫き作者自らの『世界』を拡げていってほしい。
 竜ならざる人にとっては、それこそが『永遠』に近づく唯一の方法だろうから。

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