概要
破廉恥で醜悪で愚かしい、或る女性の美しき独白
お待ちください。どうぞ、お待ちください。
妾の姿が見えてらっしゃるんでしょう? 妾の声が聞こえていらっしゃるんでしょう? どうか行かないで。どうか話を聞いてくださいまし。
後生ですから少しだけ、少しだけお時間をいただけませんでしょうか。どうしてこんな所に住んでいるのか、どうして図書館に住まうことになってしまったのか、聞いてはくださいませんか。
妾の姿が見えてらっしゃるんでしょう? 妾の声が聞こえていらっしゃるんでしょう? どうか行かないで。どうか話を聞いてくださいまし。
後生ですから少しだけ、少しだけお時間をいただけませんでしょうか。どうしてこんな所に住んでいるのか、どうして図書館に住まうことになってしまったのか、聞いてはくださいませんか。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!妾が語り(騙り)たかったこと。
第1話を読んでからいきなりレビューを書くというのはどういうものだろうか、と一瞬迷いましたが、多くの読者の目に触れることのお手伝いができたらと思い書かせていただきます。
さて、この作品の語り手である妾ですが、読んで頂ければ分かるように一筋縄では行きません。小説の語り手の問題として、一人称の語りはリーダブルで物語世界にすっと入っていけると同時に、語り手に信頼が置けるか、という問いが含まれています。例えば『嵐が丘』の語り手は主観を振り回します。本当にそれが現実かと考えると疑わしい。そういった、一人称の語りの惑いが存分に、しかも作者による意識的な手つきを味わえるのではないかという期待がビシビシと伝…続きを読む