手を差し伸べることが光となる

異世界に転移した自動車整備士のラチェット。
人間から忌み嫌われる半魔族の少女、コーテナ。

彼らが歩むであろう壮大な物語の序章は展開が早く、読者もラチェットと同じように異世界を駆け足で冒険することを余儀なくされます。
しかし、『第1部 はじまりの日』では二人が出会い、手をとりあうまでの歩みが繊細に記されています。

過去に大きな傷をかかえるラチェット。
人と同じように生きることなど許されないコーテナ。

この作品は、救いの手を受けられなかった人間でも誰かを救いたいと手を差し伸べることが、未来に希望を灯す十分な光となることを示しています。

ラチェットレンチは何もない彼の人生において、『それでも生きる』と決めた誓いの証なのかもしれません。

これから二人が歩む物語を、どうぞ読者という立場で見守ってやってください。

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