名作『「弱者の強み」と見えない監視者』収録のシリーズ第三弾
- ★★★ Excellent!!!
シリーズ三作目となる本作。
主人公の男子高校生、月ノ下君とヒロインの星原さんが事件やトラブル、果ては珍事に巻き込まれてしまうことに、このシリーズの一愛読者として耐性が付いてきたと自負していたのですが……。
当然のことですが、読み手だけではなく作者さまもさらに筆力を増しているんです。
元々プロ顔負けの筆力、構成力を持つ本作の作者さまはさらにそのレベルを高みへ持っていったようです。
ミステリー作品だけあってシリーズ一作目から謎解き要素は毎回ふんだんに盛り込まれているのですが、章を追うごとに謎が洗練されていくので毎回すんでのところで読み手側は謎を解き明かせず歯噛みすることになります。
その匙加減は見事としか言いようがありません。
さらに特筆すべきは各章ごとに主題となるテーマが掲げられており、それを元に物語が進行していくことです。
難解なテーマにも関わらず読み手側にきちんと伝わるように緻密に計算された構成にはただただ脱帽させられる筈です。
一片の誇張もなく、本当にプロ顔負けの作品です。
読専の方だけでなく書き手の方々にも読んでもらいたい作品として紹介させていただきます。