タイトルを一見してなんだか『ゆるふわ』な物語を想像していませんか?
事実、第一話冒頭はコメディっぽい出だしなので『やっぱりそうかー』なんて私は勝手に思っていました。
だけど、そんなわけなかったです笑
この作者さまが読者に安易に予想できるような物語を書くはずがありません。
ネタバレしない程度に少しだけ。
第一話は一見平凡な青年、川島良太の元に突然『明らかにその筋の人』が訪れるところから始まります。
その筋の人は言います。
「もうすぐ昼メシ時だな」
この時点で『いや、どんな話だよ!?』となるわけですが、読み進めてその理由に納得。
読み終わったあとは絶対『卵かけご飯が食べたい!』と思っている筈です。
特筆すべきは第二話です。
第一話の時点ですでにお腹いっぱいなのに、それに輪をかけてさらに素晴らしい内容なのです。
読了した私は断言できます。
『このラストは絶対に予想できない』
終盤にかけてドラマチックな展開が待ち受けていてとにかく驚かされました。
そしてダイエット中の方はくれぐれも注意が必要です。
料理の描写も非常に秀逸なので、卵かけご飯を食べたあとにネギ炒飯も食べたくなるという呪いをかけられてしまいます笑
『お腹が減っても良いから心が満たされたい!』
そういう方は是非ご一読を。
作中に現れるのは、それはごく平凡な「ご飯」。きっと誰しも、一度は食べた事があるでしょう。今日のメニューはこれにしようと思い立っても、それは簡単に実現出来る、手軽なもの。
然し、真にそのメニューに込められたのは、手軽さでは無く人の思い、過去、人生そのものであり、満たされるのは食欲だけではございません。「ご飯」の描写も一級品。読めばきっと、腹は減るが心は満たされる。
ちなみにその「ご飯」、私は一度も美味いと思った事が無ければ正直嫌いなメニューなのですが、これを読んで、案外悪くないのかもなと思いました。嘘つけえって? まったまたぁ!
なら騙されたと思って、そこのあなたもご一読!