思い出の味、再現します

ヤクザと見まごうようなスキンヘッドのおっさん。彼はわけありの奴らに思い出のご飯を出前することを趣味にする酔狂なおっさんなのだ。実費のみで手数料は取らない。
設定が面白く、心の機微を繊細に描いた人情話にホロリとくる。そして、何より注目すべきはご飯の描写だ。卵かけご飯、チャーハンと日常的な食べ物ながら、作者の手腕によってなんとも美味しそうな料理の数々が目に浮かんでくる。自分が飯をかっ込んでいるような、そんな気分になってくる。
美味しいご飯を食べたいなら、食材やレシピに凝るよりも、この小説を読むのが一番かもしれない。

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