ひりひり、ちりちり。

女子高生、歌姫、写真家。青に彩られた3人の関係の深まり、もつれ。
作者である六月さんの言葉の選び方や文章の紡ぎ方、独特で詩的でオンリーワンだなといつも仰ぎみているが、今回の作品は、その節回しは健在のまま、短く畳みかけるようなモノローグでもって、少女の硬質で、もろそうで、強靭そうでもある内面が描かれる。彼女の、一点を凝視したかと思えば、性愛のただなかにあってもどこかふうっと遠くを見ているような眼差しが印象的。
青色の光と水のイメージが、読む私の心をひりひり、ちりちりと刺し、容赦なく照らし、翻弄する。

六月さんの作り出す小説世界、まだまだ奥がありそうで、これからも楽しみにしています。

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