少女と女性の中間にある、危うく儚く、でも生命の鼓動を感じる物語。

『はるかかなた』なんて言葉遊びをしている内は、出会った頃の雨音さんの散文詩的な独特の世界観かと思っていた。
ところがどっこい、際どい、でもけして下品ではない、綺麗事では片付けられない愛の世界が描かれる。
主人公が18歳という、少女と女性の中間にある年齢で、迎合することを良しとしない性格なのが、この物語の肝のように思える。
つまびらかになっていく、『普通』とは言えない愛の形。
情景に『海』が強く感じられ、何だかセンチメンタルな気分になる。
愛の形はけして美しいとは言えないが、情景によって美しい物語に仕上がっている。

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