不自由な顔をして自由を語るしかなかった時期があった事を知っている人へ

 中学生の主人公の一人称で綴られた、思春期の少年の懐く想いを感じ取れる物語です。

 皆、過ごしてきた中学生、思春期という時代に、どういう記憶、印象を持っているかは様々だと思うのですが、私は時間だけは腐る程、あって、でもお金はいつも不足していて、自由に様々な事に興味を持ち、言及するけれど、多分、不自由な顔をして過ごしていた気がします。

 自己矛盾があると自覚しつつも、認められず、「何か特別なもの」を探している…そんな不安定さ、危うさが感じられました。

 大人になればできなかった事が増える反面、できていた事ができなくなっていく…ふと、そんな寂しさを憶えるのは、中学生の等身大の人間関係を描けているから故でしょうか。

 ふと自分も通ってきただというのに忘れてしまっていた事に気付かされました。

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