現代神話の新たな主役が降臨! 重すぎる枷を耐え抜く力強さが伝播する☆

喜びを糧に、怒りを糧に、哀しみを糧に、楽しさを糧に。
様々な感情を糧にして何かに打ち込む姿は美しい。しかし、それらをまとめても思うように美しさが伝わらないのが世の常でもある。主人公の陽くんも然り……自分の才能を存分に引き出してくれる人々が現れるまでは。
孤高の天才という言葉の響きは良いものだが、孤高である限り天才にはなれないと思う。周りのサポートがあって初めて「天才」という言葉が後付けされるものではないだろうか。その周りのポテンシャルは、もちろん高ければ高いほど良い。相乗効果の高まる幅は広がり、人が人を呼んで才能に深みが増す。天才にありがちな諸刃の部分も鍛えられ、すぐには折れない強さも磨かれることとなる。
作中では、そのように感じさせる描写が数々見受けられた。作者さまが、それぞれのキャラクターに寄り添い、愛したからこそ、主人公の魅力が存分に引き出されていたのだと思う。それはもう狂気とも言えるほどに。

画家をフィーチャーした作品だけに、絵に対する美的センスも抜群。絵筆の種類や色の配合なんかどうでもいい。キャンバスから生まれる「陽くんのセンス」が、文字を通して迸っていた。ここ大事なところなので、もう一度書く。

文 字 か ら 絵 の 凄 さ が 迸 っ て い た !

キャンバスでもスケッチブックでも壁でもシャッターでも色紙でも何でもかんでも、それぞれの素材に合わせた最高の絵が描かれていた。特に愛宕は、ライブハウスの壁に描かれた絵がお気に入りだ。まぁ、愛宕のことはどうでもいい。ともかく、読めば必ずやお気に入りの絵が見つかるはずだ。

喜怒哀楽を感じ、愛と憎しみを感じられる「それぞれ」の人間模様を、独特な感性で描かれる絵と共にお楽しみいただきたい。もしかしたら、インコまで飼いたくなってしまうかもしれない☆

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