力が欲しいか?

創作に関わる者として「天才がどのように作られるのか、そしてその悲哀とは?」という点に着目して読ませていただきました。
個人的に主人公はたとえ悪魔の力を借りずとも、そして周りの影響を受けずとも、最終的には天才と呼ばれる存在になり得たのではないかという気がします。ここまで個性の強さ、意志の強さが際立つキャラクターは現代日本ではなかなかお目にかかれないので。
ストーリーの中で印象的だったのは、中盤以降、力を手に入れた彼と力を借りずして頂点に達した存在との対比、アクシデント後の二人の関係など、天から才能が与えられた者にしかわからない葛藤がまざまざと描かれていたところで、どんな現実に直面してもブレずに自分を貫こうとする姿勢に胸を打たれました。
そしてそんな天才たちから影響を受ける側がまた、良いリアクションを示しつつ成長していくのですが、そんな王道っぽさと未完成っぽさが見事に同居する展開が良かったです。字数の多さは全く感じないまま読み終えましたが、本当はもっと続くんじゃないかと期待する自分がいました。

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