概要
その国には国家資格を有する魔法使い組織『魔法師団』がある。
魔法師は《国家の犬》《頭でっかちのイヤミインテリ》《実践では使い物にならない役立たず》と称され、冒険小説では《魔王の手先》とされる不遇の公務員だ。
そこで働く平団員のネロ・リンミーは、先輩上司でもある大魔導師サヴァランに呼び出された。
『カンバリア全土を襲う〝かもしれない〟災厄の調査』
調査の内容も分からない。
調査区域の安全性も分からない。
ないないづくしの無茶な指令。誰だってやりたくない究極の雑務。
「行ってこい」
拒否権などない。
なぜならネロは平団員。
たとえ貴族の出であろうと、兄が大都市の市長であろうと、ネロは単なる平団員。
「
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!魔法への憧れを呼び覚ます、丁寧な描写が光る異世界ファンタジー。
これ、本当に読みやすくて面白いです。
あらすじを簡単に説明すると、国家資格を有する魔法使い組織『魔法師団』で国家公務員として働くネロ・リンミー。ある日、突如として国を襲った異常事態の調査を大魔導師サヴァランより命じられ、嫌々ながらも旅に出る。その先で待ち受けてるものは・・・?
まず何といっても描写の丁寧さが光ります。地図的な国の描写、政治的な主人公の立場、そして魔法の理論的な解説、どれをとっても繊細に丁寧に描かれていて、すべての情景が読み手にするっと伝わってきます。そして俺が一番好きなのが、
魔法がどう発動されるのかを、ひとつひとつ理論を交えながら説明してくれるところ!
これ、魔法使…続きを読む - ★★★ Excellent!!!わかりやすい描写力、読みやすい描写力を兼ね備えています
魔法使いの公務員という設定がいいですね。
数ある職業あれど、公務員はなかなか聞きません。
で、主人公の性格もスマートですね。
熱くないわけではないけどスマートである。それゆえ大人びた上に立つものの風格を感じさせます。
世界観もとても練られていて、わかりやすく説明がされてます。
それが邪魔になるわけでもなく、読み手にちょうどいいとさえも思わせます。
作りがとても丁寧でどういう世界でこの獣はどこにいるんだ、この魔法はこうなんだ、ここはこういうところなんだという事をわかりやすく教えてくれます。
総評します。
世界観がわかりやすい優しいライトノベルです。
残念なところは続きが気になってしまうところで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!どこの世界でも公務員は世知辛い
魔法師団が冒険小説の悪役にされる。この設定を見た時にこの物語が奥行きの深い世界観の下にあることを確信した。こういうの大好き。
役所勤めの公務員魔法師達の、法律やら業務規程やら慣例やら世間体やらに振り回される様がリアルすぎて遠いファンタジー世界の話なのに身近さを感じて思わず応援したくなる。
主人公のネロはそんな公務員の皆様の中でも人一倍苦労性なようで、頼りになるが故に個性豊かでアクの濃い周りの人々に振り回されている。公僕のボンボンでありながらも公務員オブザ公務員な彼は、強力な魔法師という実にファンタジーな存在であるにも関わらず、とても理論的かつ酷く現実的で客観的な人間に見える。個人的に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!丁寧な物語運び、面白さが加速していく確信
密命を帯びた公務員が調査におもむく。
そうとだけ書けば、警察小説みたいだが、ところがどっこいこの公務員は魔法使いなのだ。
抑制された文体だが、淡白すぎず硬すぎず、わかりやすくて読みやすい。たまにはっとするような表現や例えが出てきて文を追うだけでも面白い。
ベルトを外すのと同じくらいのめんどくささの魔法、なんて表現がさらっと出るのとか、かっこいいじゃない。
主人公ネロもとても人間臭くて、しかし凡百な奴というわけでなく、知識欲とか研究心みたいなものが強くて、振る舞いもスマート。まだ戦闘シーンはありませんでしたが、かっこよく戦ってくれそうな雰囲気で待ち遠しい。
細かなシーンの演出も丁寧だが、…続きを読む