恋に悩む主人公達がとにかく可愛い

この作品の前日譚である「藤の花恋」から来ました。
藤の花恋の方は純粋で世間知らずのお姫様(伊万里の母)が様々なしがらみに捕らわれながらも恋をするといったお話で、色々な意味で大人の恋愛といった印象を受けたのですが、この作品は本当に初々しい!そしてじれったい!
壬と伊万里、圭と千尋の四人が些細なことで悩んで傷ついて落ち込んで。なんかもう、常に我が子を見守るようなほほえましい気持ちでした。
また物語の主軸として妖刀焔を巡った争いがあるのですが、これがなかなか面白い。妖刀焔は壬と伊万里の関係をこじらせる一因でもあるのですが、これを狙う輩が伊万里の故郷でもある月夜の里からやってきます。ここで伏見谷と藤の花恋の世界観がリンクし、壬たちの見えないところで別の物語が進んでいることがわかり、さらに物語に奥行きが感じられました。
恋愛一辺倒ではなく、物語の主軸に鬼や妖狐の政争(?)があるのもまたこの作品の魅力です。

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