主人公は妖怪を見てしまう体質の女子高生。
妖怪が見えるせいで色々な苦労をしてきました。
そんな主人公はある事をきっかけに同級生の男の子、朝霧くんと話をするようになるのですが……
朝読小説賞受賞作です。
朝の読書運動で読まれることを想定した作品を募集する賞なので、子ども向けの内容かな?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、十分大人も楽しめる内容になっています。
妖怪が出てきて怖い思いをしたり、友達との関係に悩んだりなど、主人公は色々な葛藤を乗り越えていきます。
読みやすい文章で読後感もとても良いです。
老若男女問わずおススメできる作品です。
直球ストレートなお話です。
予想はできる。蛇の話も、朝霧の秘密も、結末も、ああそうかというもので、捻りは特にないんです。
それでも読み進めてしまう。ベタだからこそ、いいのでしょう。
人物の感情をとにかく掘り下げて、どうにかしたい、なんとかしたいと、読み手にシンクロさせていく。
焦らし方も上手いです。ぐでぐで悩んで焦らされます。でもそれがいいのです。
冒頭で、朝霧がついた嘘が思わぬ方向に発展していく。この繋ぎ方も上手いと思います。テーマにも繋がっている。
麻里と朝霧の間には、最後まで(?)恋愛感情を持ちこませないスタンスが素敵ですね。そういう話ではないんです。
恋愛要素を削り落として、悩みを共有する二人。絶妙な距離感、空気感。
温度の低い文体も、ホラーな演出を掻き立てます。
妖怪、怖いです。迫力あります。
麻里は妖怪が見えて、見えることに気づかれると、襲われてしまうという恐怖。
麻里にとってはこの世界がスラム街のようなものです。歩いていると、ヤンキーな妖怪に因縁つけてられてしまうんですね。理不尽なものです。
心強い味方ができたとはいえ、肝心なところで頼りない彼ですから、麻里の今後も苦労するかと心配になってしまいます。
最後まで読み終えると、タイトルが非常に秀逸。
レビューの締めに、気に入った一文を引用させていただきます。
『見たくもないのに色々とおかしなものばかり見えるこの目だけれど、綺麗なものがちゃんと綺麗に見えるのは他の人と何も変わりは無い。』
二年前に両親を事故で亡くした主人公は、祖母と一緒に暮らしているが、彼女には誰にも言えない秘密があった。
――その秘密とは、妖怪が見えること!?
その能力に苦しんできた彼女ですが、クラスメイトの男子は彼女の秘密を優しく受け入れてくれました。
なぜなら……。
彼にはもっと驚くような秘密が……。
とても丁寧に描かれた情景描写。
妖怪とのバトルは迫力があり、目の前で繰り広げられているような臨場感があります。
彼の背負っている出生の秘密。
彼女はその秘密をすぐに受け入れることはできませんでした。
二人の心の葛藤や変化が見事に描かれています。
―朝読小説賞 受賞作―
とても読みやすく、朝の読書タイムにぴったりな作品です。
私には小さいころから人には言えない秘密があった。この世には私にしか見ることのできない『何か』がいる。
朝読書賞受賞作です。第1回の受賞ですからね、今後はこれを参考にしましょう。
朝読書賞だけあって、中高生が朝に読みたくなるお話でした。毎朝が楽しくなりそうです。
作者様らしく、読みやすい作品で、あっという間に読めます。
妖怪、怖いです((( ;゚Д゚)))
意外な展開もあります。
辛い思いをしてきた主人公たち。
ヒロインとクラスの男子の関係性がいいです。
感情表現うまいです。
胸キュンもあります。
妖怪との壮絶な戦い。
波乱万丈なラブストーリーでもあります。
切なくもハートフルな物語です。
学校には個性、性格など様々な人たちが集まっています。
今までのクラスメイトを思い出しても、個性の強い人が思い浮かぶ、という方がいるのではないでしょうか。
でもタイトルにある『妖しい』クラスメイトは少し違います。
主人公の五木麻里は妖怪が見えるという特殊な能力を持っています。そのおかげで苦労は絶えません。
そんな中、あるクラスメイト朝霧晴に出会います。彼も悩みを持っていました。
物語は、そんな二人が悩みや日常、そして妖しさを共有していくところから始まります。
もちろん二人の間には様々な事件が起こります。
そのたびに次の展開が気になり、次々と読み進めます。
二人の心情や情景が豊かに表現されています。時には激しく、時には温かく、メリハリのきいたストーリー。とても読み応えがあります。
心を何度か揺さぶられながらたどり着く最終話、きっと二人の行方が伝わるでしょう。
ぜひご一読を!
これは、のめり込んじゃいますね♡
ヒロインで主人公の五木麻里ちゃんが、なんというか、ヒロインっぽくない!
とある悩みを抱える朝霧晴君を突き放す感じで、なんなのよ〜! ……とか思っちゃいました。
一方で、その朝霧晴君も後半では、ぐっだぐだでシャキッとしなさい! って感じ?
まあ、片方が残念なときは、もう片方が頑張っていて、バランスは取れています。
最終的には、等身大のヒーローヒロインとして絶妙なところに落ち着きまして、これが総て計算ずくだとしたら凄い。
他には、晴君に恋する鶴羽明菜さんの内心が乙女乙女してて可愛らしい。もうきゅんきゅんですよ♡ 恋愛的な意味では、ヒロインの座を奪われているっぽい?
本作の最後では、第二部を予感させるような終わり方で、『ああ、きっとこのような展開になるんだろうな』と、勝手に想像してしまいました。それを考えると麻里ちゃんと晴君の恋愛的進展がなかったのも納得です。
作者様の掌の上で踊らされてた? 脱帽でございます。
処女作でこのクオリティとは、末恐ろしゅうございます。きっと名のある書き手に成長するでしょう……って、もうなってますね。
無月兄先生、恐ろしい子☆
お互い秘密を抱える主人公、五木麻里と朝霧晴。
二人は交流し合うなかでやがて秘密を共有し、心を通わせていきます。
しかし、彼には主人公にも言えないもっと大きな秘密があったのです――。
この作品には妖怪が出てきます。
妖怪は空想上の生き物ですが、描写が巧みで、戦う場面では躍動感があって伝わりやすく、作者様の想像力の豊かさ、確かさが実感されます。
また、この作品は心情の機微を丁寧に描き切っています。
明るい方にも暗い方にも揺れてしまう心のありようを見つめ、深く掘り下げていく中で、主人公は自分の本当の気持ちに気づいていく。
そうして吟味してたどり着いた想いだからこそ、尊いのだと思います。
エンターテインメントでありながら文学的な香りがただよう、素敵な作品でした。
あの有名アニメの聖地から送る、妖怪が見える主人公と、大きな秘密を抱えたクラスメイトの彼の物語。
本作は、圧倒的なリアリティの元で、主人公の忘れえぬ悲しい過去と後悔、彼の誰にも言えぬ秘密と苦悩について、読み易く丁寧に、時に容赦なく、読者に訴えかけるように描かれた素晴らしい作品だと感じました。
その描写からは、まさにエッセイのようなノンフィクション感が漂います。
日常の風景から、作中に登場する妖怪に至るまで、実に現実味に溢れている。
たぶん、この作者様も視える人だな。
そう感じさせる位、細部まで鮮明な映像が頭に浮かんできます。
前半は、ドキリとするような、普通の高校生の恋愛要素も取り入れつつ、面白おかしく進んでいきます。
それが、主人公の過去が明かされてからは一変。
後半は、妖怪と対峙する息を飲む展開や、彼の誰にも明かしたことのない秘密の発覚、さらには登場人物それぞれの思い、悩み、人生を突き付けられる重厚な内容となっています。
さて、ラストで主人公たちが出す答えとは? 選ぶ道は?
一緒に見守り、寄り添い、あなたがクラスメイトならどうするか、思いを馳せてみませんか?
なんと、妖怪が見えてしまう五木麻里。でも、変人扱いされたなくて、それことを家族にもクラスのみんなにも黙っていた。
普通を装って、普通に学園生活を送る彼女は、クラスの女子の噂で、朝霧晴の名前を耳にする。
妖怪が見える!以外は、いたって普通の少女が主人公の物語。強くもないし、臆病だし、はっきりした主張もできない。そんな主人公と、ちょっと謎めいたクラスメート朝霧くんの物語です。
とにかく前半の、学園生活と妖怪出現のバランスがいいです。決して妖怪退治やホラーに傾かず、丁寧な心理描写で五木麻里の学校での日常が描かれ、そこに唐突に姿を現す妖怪の怪異さときたら!
物語は後半に入り、朝霧くんの秘密に触れ、クライマックスを迎えて一応の終局を迎えるのですが、この物語の本当のストーリーは、おそらくここから始まるのでしょう。
そこはもちろん描かれていないのですが、きっとそうなんだろうなぁーと、読者に感じさせてラストを迎える読後感。
まさにここから始まる物語だと思います。