視えてしまう私の秘密と「彼」の秘密

あの有名アニメの聖地から送る、妖怪が見える主人公と、大きな秘密を抱えたクラスメイトの彼の物語。

本作は、圧倒的なリアリティの元で、主人公の忘れえぬ悲しい過去と後悔、彼の誰にも言えぬ秘密と苦悩について、読み易く丁寧に、時に容赦なく、読者に訴えかけるように描かれた素晴らしい作品だと感じました。

その描写からは、まさにエッセイのようなノンフィクション感が漂います。
日常の風景から、作中に登場する妖怪に至るまで、実に現実味に溢れている。
たぶん、この作者様も視える人だな。
そう感じさせる位、細部まで鮮明な映像が頭に浮かんできます。

前半は、ドキリとするような、普通の高校生の恋愛要素も取り入れつつ、面白おかしく進んでいきます。
それが、主人公の過去が明かされてからは一変。
後半は、妖怪と対峙する息を飲む展開や、彼の誰にも明かしたことのない秘密の発覚、さらには登場人物それぞれの思い、悩み、人生を突き付けられる重厚な内容となっています。

さて、ラストで主人公たちが出す答えとは? 選ぶ道は?
一緒に見守り、寄り添い、あなたがクラスメイトならどうするか、思いを馳せてみませんか?

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