ここから始まる物語

 なんと、妖怪が見えてしまう五木麻里。でも、変人扱いされたなくて、それことを家族にもクラスのみんなにも黙っていた。
 普通を装って、普通に学園生活を送る彼女は、クラスの女子の噂で、朝霧晴の名前を耳にする。

 妖怪が見える!以外は、いたって普通の少女が主人公の物語。強くもないし、臆病だし、はっきりした主張もできない。そんな主人公と、ちょっと謎めいたクラスメート朝霧くんの物語です。

 とにかく前半の、学園生活と妖怪出現のバランスがいいです。決して妖怪退治やホラーに傾かず、丁寧な心理描写で五木麻里の学校での日常が描かれ、そこに唐突に姿を現す妖怪の怪異さときたら!


 物語は後半に入り、朝霧くんの秘密に触れ、クライマックスを迎えて一応の終局を迎えるのですが、この物語の本当のストーリーは、おそらくここから始まるのでしょう。
 そこはもちろん描かれていないのですが、きっとそうなんだろうなぁーと、読者に感じさせてラストを迎える読後感。

 まさにここから始まる物語だと思います。

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