えも言われぬノスタルジー

一読して真っ先に抱いた印象は、何やら懐かしいテイストがする、というものだった。何だろう、90年代的オカルトモノの香りとでも言うべきか、霊感探偵とアシスタントという感じの設定や、随所に出てくるガッチリと土台が組まれた心霊設定など、そういうもの全てがノスタルジックな香りを放っていて、まずそこに感動を覚える。
別に古くさいと言いたいわけではなく、むしろそういった懐かしさをベースとしながらも、現代的なエッセンスで違和感なく現代物として読ませているのだから、その辺は上手いと唸るしかない。
キャラ作りがとても丁寧で好感が持てる。貧乏暇無しと言わんばかりにこき使われる主人公も、元を正せば自業自得であり、そういう色々抜けているキャラに与えられた霊能が「霊を嗅ぐと臭い」というのは何とも腑に落ちまくって心地よい。先輩も色々とベッタベタだけど、もうそれは非の打ち所のない様式美である。
話の進行スタイルは、数話完結的な案配で今後も続いていきそうな、読み手的にも展開が追いやすい新設設計。まあ、先のことは分からないけれども。雰囲気としては、今後もちょいちょい依頼人が来ては事件を裁いて、その間に同業者とかそういうキャラクターが段階的に足されて人間関係に厚みが出来ていくとか、そういう王道的ながらも安心の展開が期待できるような気がする。そこは裏切られるかも分からないけれど。
とにかく、今読める2話がまさに導入として完璧なので、続編が待ち遠しいのである。

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